日本損害保険協会はこのほど、交通事故を経済的損失の観点から捉えた報告書「自動車保険データにみる交通事故の実態 -提言と主な対策-」(2009年4月~2010年3月)を発表した。

それによると、交通事故による死亡者が減る一方で後遺障害者数は増加しており、交通事故による社会的コストは年間3兆2,069億円(物的損失額1兆7,108億円、人身損失額1兆4,961億円)に上ると推計。この額は、国民1人当たりに換算すると年間約2万5,000円となり、大きな社会的損失になっているという。また、高齢運転者の交通事故による経済的損失額が急増しており、高齢者に対する交通安全対策は、歩行者としての視点に加え、運転者としての対策も必要だと指摘している。

交通事故による経済的損失額は3兆2,069億円

交通事故による受傷部位に関する提言では、受傷者数の多い頸部・後頭部に加え、重症化しやすい腹部への対策が必要だとして、シートベルトの適切な着用の重要性を呼びかけている。構築物衝突による車両単独事故は件数が減少しているものの、全年齢で損害物数が増加しており、対策を求めている。

このほか、16~19才の若年層は免許保有者1万人当たりの人身事故被害者数が最も多いと指摘。その事故累計はスピードの出し過ぎによる追突の割合が高く、運転者の責任や交通マナーについて理解を深める教育が必要であるとしている。

報告書は同協会Webサイトからダウンロード可能なほか、冊子の無償配布(郵送料140円が必要)も行っている。