平仮名や片仮名、漢字など、表記体型が複雑で、なおかつ変換作業が必要な「日本語」の入力をスムーズに行うためには、優秀な辞書システムと変換システムが重要となる。ジャストシステムの『ATOK』シリーズは、変換機能に定評があり「日本語入力システムと言えばATOK」と言われるほど知名度は高い。今回紹介するATOKは、個人向け製品ではなく企業向けにリリースされている「ATOK Pro for Windows」と呼ばれる製品。

個人向けとはひと味違った機能を搭載しているとのことなので、そのあたりを中心にレビューを進めていく。なお、今回レビューで使用しているのは、開発途中のベータ版のため、製品版と一部異なる可能性があることをあらかじめ了承していただきたい。

ATOKはなぜ変換が賢いのか?

PCを使う上で、日本語入力は欠かせない機能のひとつ。そのため日本語版のWindowsには「Microsoft IME」と呼ばれる日本語変換システムが用意されている。一般用途ではこれでも問題はないが、誤変換も多い。たとえば、「メールがおくれました」と入力し変換キーを押した場合、Microsoft IMEの場合は以前に使った漢字を優先して変換結果を返すため、「メールが遅れました」や「メールが贈れました」となる場合がある。ATOKは前後の文節を認識して変換するため、「メールが送れました」と表示される。

このような変換ミスは、文章が長くなればなるほど発生率は高くなる傾向にあり、誤字の修正に手間がかかる。日本語には同音異義語があるため、このような変換ミスは多々起こってしまいがちだが、ATOKは変換システムに改良を重ね、誤変換が極力起こらないように設計されている。「改良を重ねてきた」と一言に言ってしまえばそれまでだが、そもそもATOKは、1983年に登場した「KTIS(Kana-Kanji Transfer Input System)」と呼ばれる日本語処理システムが起源となっているソフトで、1985年にATOKという名前に変更された。なんと28年間も日本語変換のAIをバージョンアップし、精度の高い変換システムを作り上げてきたのだ(ATOKの歴史はこちらを参照)。

強力な校正支援機能により入力ミスが補正

ここからはATOKを実際にインストールするところをお伝えしていく。これまでMicrosoft IMEを使用していたユーザーでも、ユーザー辞書ファイルの内容を引き継げるので、今まで学習させた内容が無駄になることはない。もちろん、ATOKを使っていても問題なく引き継げる。繁雑な作業は一切なく、PCに詳しくないユーザーでも問題はないだろう。

連携ツールにもインストーラーがついているので、安心してインストールできる

すでにATOKがインストールされていれば、注意書きのメッセージが表示される

ローマ字、かな文字入力の設定、辞書登録した単語などを引き継げる

Microsoft IMEから環境を引き継ぎたい場合は「手動」を選択すればよい