アップルは6日(米国時間)、Worldwide Developer Conference(WWDC)の基調講演において、MobileMeに代わる新しい同社のクラウドサービス「iCloud」を発表し、その機能を披露した。iCloudは、Mac、PC、iPhone/iPadなどのiOSデバイスでシームレスに動作し、各種コンテンツをワイヤレスで自動的に同期できる。サービスは無料で提供される。
iCloudには、以下のサービスが含まれる。
連絡先、カレンダー、メール:これまでMobileMeに含まれていたこれらのサービスは、iCloudでも利用できる。いずれもiCloudでシームレスに動作するよう書き直され、再構築されている。カレンダーの共有、広告なしのメールサービスの利用、メールボックスの自動同期などが可能だ。
購入コンテンツの同期:App Store/iBookstoreで購入したコンテンツはiCloudのサービスを通じて自動で同期され、購入履歴の可能も行える。また、購入済みコンテンツはアイコンのiCloudアイコンをダブルクリックすることで10台までのiOSデバイスに追加費用なしでダウンロードできる。
自動バックアップ:iCloudは、毎日Wi-Fi経由でiOSデバイスのデータをiCloud上にバックアップする。このバックアップに含まれるのは、購入した音楽、アプリ、電子書籍、カメラロール、設定およびアプリのデータ。iOSデバイスの買い換え時などは、このバックアップから復元することですぐにそれまでと同様にデバイスを使うことができる。
フォトストリーム:iCloudは写真データをデバイス間で自動的に同期する。容量を考慮し、最新の1,000枚の写真が同期によって各iOSデバイスに保持され、容量に余裕のあるMac/PCではストリームのすべての写真がコピーされる。クラウド上に写真が保持されるのは30日間。
iTunes in the Cloud:iTunesで過去に購入した音楽は各iOSデバイスへダウンロードできるようになる。また、新規に購入した楽曲は自動的に全デバイスへダウンロードされる。ユーザーがCDなどから取り込んだものなど、iTunesで購入したのではない楽曲についても、"iTunes Match"という機能を利用して同様の利点を享受することができる。iTunes Matchは楽曲をiTunesの256kbpsDRMフリーAACファイルに置き換えるもの。この機能を利用することにより、ユーザーが個々に楽曲データをクラウドに保存することなく、必要に応じてiCloud上のiTunesが持つデータを利用できるようになる。ただしiTunes Matchは現時点では米国のみの提供で、年額24ドル99セントで今秋から利用可能。iTunes in the Cloudは米国では本日から、ベータ版としてiOS 4.3が動作するデバイスで無償で利用できる。正式版では、iOS 5が動作する全デバイスをサポートする予定。
これらのiCloudサービスは、本日からiOS/Macのデベロッパープログラム参加者にベータ版として提供される。正式版は今秋、iOS 5と共に無料で提供される予定。またiCloudには5GBのストレージ領域が含まれており、メールデータや文書、バックアップなどが保存される。購入した音楽/電子書籍コンテンツ、フォトストリームなどはこの5GBに含まれない。
■Worldwide Developer Conference (WWDC) 2011 関連記事
【レポート】WWDC 2011 - iCloudは新たなデジタルハブ「PC/Macはデバイスに格下げ」
【レポート】WWDC 2011 - 独り立ちの転機を迎えた「iOS 5」、10の新機能
Mac OS X "Lion"は光学メディア不要 - 一般向けには7月発売
アップル、MobileMeに代わる新クラウドサービス「iCloud」を今秋提供開始
iOS 5は今秋公開 - Mac/PC不要でアップデート、Twitter機能を統合
アップル、WWDC基調講演でMac OS X Lion/iOS 5/iCloudを披露すると予告
WWDCでiOS 5/iPhone 5は登場しない? - iPad 3とともに秋以降のリリースか
Apple、WWDC 2011開催を発表 - iOSとMac OSの未来を披露