米NVIDIAは、COMPUTEXにて同社チップを搭載するPCやタブレットの最新製品を中心とした出展を行っていたが、最も注目が集まっていたのは次世代Tegraと目される「Kal-El」(開発コードネーム)のデモンストレーション展示だ。Kal-Elは、現行最新のTegra 2の5倍の性能をうたうタブレット/スマートフォン機器向けSoCだが、その性能を裏付けるかのように、カプコンの「Lost Planet 2」が実機動作中の試作タブレットが展示されていた。
Kal-Elは、クアッドコアのARMベースCPUに、12コアのGPUなどを組み合わせた、現行Tegra 2の後継として予定されるSoCで、同社スタッフによれば、タブレット向け製品が今年9月頃、スマートフォン向け製品は来年の投入が予定されている。前述のデモは、Kal-ElのリファレンスデザインとされるAndroid 3.0搭載の試作タブレット端末によるものだ。
なお、DirectX 11ベースのPCゲーム版ではなく、OpenGL 2.0ベースのPS3版Lost Planet 2のデータを、"ほぼそのまま"流用したデモンストレーションだそうだ。細部を見ると少々エッジが甘いような部分も見られたが、光源処理などもきちんと確認できる状態で、リアルタイムで処理されたLost Planet 2の描画映像がスムーズに動く様を見ることができた。具体的には30フレーム程で処理できているとされていた。
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「Kal-El」動画その1。「Lost Planet 2」のデモンストレーション(2分28秒) |
ほかKal-Elでは、「Glowball」と呼ばれる実機デモも公開しており、これは球体のオブジェクトが画面内を自由に転がりまわるというデモなのだが、Kal-ElのGPUで各オブジェクトのリアルタイムのダイナミックライティング処理をし、CPUで球体が他のオブジェクト(布やブロックなど)に接触した際の物理演算処理(PhysX処理)を行っているという高度なものだ。
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「Kal-El」動画その2。「Glowball」のデモンストレーション(45秒) |
またKal-Elでは、Unigine Heavenのエンジンを流用したというソフトウェアによるデモもあり、こちらでは、さすがにDX11のフィーチャなどを動かしているわけではなかったが、ダイナミックライティングのほか、バンプマップだという凹凸表現の処理などを中心にアピールしていた。総じてKal-Elは、コンソールゲーム機に匹敵する性能がある、という技術展示になっていた。