2011年5月7日より全国ロードショーとなった新海誠監督の最新作『星を追う子ども』だが、6月2日(木)には、東京・池袋のシネマサンシャイン池袋において、「星を追う子どもスペシャルナイト Vol.1 『星を追う子ども』を聴く」が開催された。

ステージに登場した新海誠監督

『星を追う子ども』上映終了後のティーチインとして行われた今回のイベントには、新海誠監督のほか、新海作品を音楽面で支える天門氏、主題歌「Hello Goodbye & Hello」を手掛けたシンガーソングライターの熊木杏里、そして音楽のアレンジをメインに、一部の作曲、演奏、指揮などを担当した多田彰文氏が登壇。「『星を追う子ども』を聴く」というタイトルどおり、本作の音楽面についてが、裏話などを交えながら熱く語られた。

新海監督のトークに続いて、ゲスト陣も登壇。(写真左より)多田彰文氏、熊木杏里、新海誠監督、天門氏

イベントでは、5月7日に発売された本作のオリジナルサウンドトラックに収録された曲の中から、それぞれが好きな曲を挙げつつ、作曲や演奏面などのポイントを解説。熊木が「曲を聴いただけでもアガルタの壮大な世界が思い浮かぶ」という「アガルタ」については、天門氏が本作において一番最初に作った曲で、メインテーマ候補の一つだったと紹介されたほか、多田氏からは「地下世界ということは映像で説明されているので、音楽では逆方向を狙って、広がりのある音楽を心がけた」とのコメントが寄せられた。

また、主題歌「Hello Goodbye & Hello」のサウンドは、作品全体に散りばめられているが、「音楽が鳴っただけで、どんなシチュエーションでもほっとする曲なので、効果は絶大だが、逆に劇中の緊張感が解けてしまう場合もあるので、緊張感が保てるようにテンポなどにもこだわった」という新海監督。その歌詞世界など、「Hello Goodbye & Hello」を絶賛する新海監督だが、「最初はダメ出しだった(笑)」と苦笑する熊木に対して、「何度かリテイクをお願いしたが、結果的にはそのリテイクを撤回して、一番最初の曲を使った」(新海監督)というエピソードも披露された。

ここではイベントの最後に出演者から語られたメッセージを紹介しよう。

天門氏「昔の作品は、本当に個人作業で、ピアノだけのBGMなどを作っていたのですが、だんだんといろいろな人が関わってきて、今回はオーケストラという、演奏自体にもたくさんの人が関わるという広がりを持ちました。自分たちの力だけではなく、今まで観ていただいたお客さんの力もなければ、ここまでの広がりはなかったと思います。本当にありがとうございます」

多田彰文氏「熊木さんのメロディ(「Hello Goodbye & Hello」)は、いたるところで使われていて、シーンに沿ったメロウなところから、戦いのシーンやすごく恐怖を抱くシーンまで、いろいろなところで、わからないようにこそっと使っています。映画を観たり、サントラを手にとっていただく機会があったら、メロディ探しなどをしていただくと、すごく楽しいのではないかと思います。新海監督が描く世界に、天門さんのメロディと熊木さんのメロディを思う存分に使わせていただき、オーケストレーションさせていただけたことを、すごく光栄に思っております。末永く愛していただける作品になればと思っておりますので、よろしくお願いします」

熊木杏里「この映画は本当に笑えるところもあって、でも泣いたりするところもあって、いろいろと生きていることを感じられる映画だと思います。今必要なことがたくさんあるのではないかと思うので、曲もサントラもぜひじっくりと聴いていただきたいなと思います」

新海誠監督「公開してからしばらく経って、皆さんからたくさんのご感想を毎日いただいていております。それを消化していくのが精一杯で、たくさんの感想をいただきすぎて、食あたりみたいなものをおこして、熱を出してしまったりもしたんですけど(笑)、これからもまだ公開は続きますので、よろしければ末永く愛していただければ、作品としてもとても幸せだと思います」


なお、「星を追う子どもスペシャルナイト」は今後もテーマを変えて、毎週木曜日に開催される予定。第2回も6月9日に開催される予定となっているので、参加方法などの詳細は、『星を追う子ども』の公式サイトなどをチェックしてみよう。

イベント名 星を追う子どもスペシャルナイト Vol.2『星を追う子ども』を語る!
日程 2011年6月9日(木)
時間 20時40分の回上映前 ※上映前のトークショーとなる
場所 シネマサンシャイン池袋
ゲスト 吉田尚記 (ニッポン放送アナウンサー)
内容 監督×ゲストを招いてのティーチイン
※日時などの詳細は変更になる場合があるので、必ず公式サイトでの発表をご確認ください