BiND for WebLiFE*シリーズなどのWeb制作ソフトウェアや、さまざまなソフト開発を手掛けるデジタルステージ。同社が行う取り組みからは、「Web、そしてソーシャルメディアをもっと面白く、豊かなものにしたい」という明確な理念が感じられる。「震災以降、ソーシャルメディアが突如、仮想的な何かから"リアル"になった」と語るデジタルステージ代表取締役社長 平野友康氏に、ソーシャルメディアの現在について伺った。
――平野さんは現在の状況を「10年に一度の変革期」と称されています。そう思われる理由とは、どんな点にあるのでしょうか?
平野友康(以下、平野)「ソーシャルメディアもひとつの"メディア"ですが、今までのマスメディアとまったく違うのは、個人同士が繋がっており、そしてその規模は何より密度が大きく違うということにあります。たとえば、坂本龍一さんのコンサートをUstream中継すると、20万人くらいの視聴者が集まるし、僕ひとりが番組を作って中継しても1万人は視聴者が集まってしまう。テレビというマスメディアから見るとゼロに等しい数ですが、個人、あるいは会社として考えるとものすごい集客力です。『コレはスゴイ、面白いぞ』と2010年の春からUstream中継やFacebook、Twitterなどさまざまなソーシャルメディアを使った実験を重ねてきました。そして東日本大地震では、ソーシャルメディアが突如として機能し、連絡網として動き始めました。これは僕自身もまったく予想していなかったことです。それまで"ソーシャル(=社会)"と言っても希望的な呼ばれ方でしかなかったソーシャルメディアが、マスメディアではフォローしきれない部分を支えるものとして、本当の意味で社会的な役割を持つメディアになりました。ソーシャルメディアに触れた人とそうではない人の差は、ハッキリ出るようになりましたよね。ソーシャルメディアの"強さ"が明らかに有益なものとして、論じる必要もなく表面化したのではないでしょうか」
――ここまでTwitterやFacebookによる情報発信が増えてくると、改めてホームページの役割や必要性はあるのでしょうか?
平野「進んでいる(ソーシャルメディアのアダプター的な)人たちは実はTwitterやFacebookを通じて、日々閲覧しているホームページの数は増えているはずなんです。なぜなら、TwitterやFacebookはホームページの代わりになるものではなく、ホームページへのアクセスをより促すメディアだからです。ということは、『ちょっとTwitter始めました』とか、『Facebookやってます』というライトユーザーも、近いうちにより多くのホームページを見るようになるでしょう。つまり、新しい人が訪れてくるチャンスが広がっている。だからこそ僕は、『ホームページをもっと作り込まないとダメなんじゃないか』と思います。たとえばショップの場合、つぶやくだけつぶやいてホームページがないのはおかしいでしょう? TwitterやFacebook、ブログと入り口はたくさんあっても相互に関係しています。いろいろなメディアが登場して情報発信の必要性が全体的に底上げされている今だからこそ、ホームページの重要性が増しているんじゃないでしょうか。BiNDシリーズは『カッコいいホームページがすぐ作れる』という笑っちゃうくらい単純明快なキャッチコピーを付けていますが、Twitterなどから飛んでいった先のファーストインプレッションは大切で、やはり、見た目がイマイチなサイトは安心できないんですよ。実際に行けば良い店なのにホームページで損してる、っていうところもすごく多いはずです。でも今まではデザイン性の高さを求めるとプロに依頼するしかなかった。それだと個人や中小企業にとって、ホームページ制作が敷居の高いものになってしまいます。だからBiNDシリーズでは、テンプレートもプロのトップクリエイターに作成してもらい、Webの専門知識が無くてもカッコイイものが作れるようになっています。これからは、ソーシャルメディアの急激な立ち上がりを受けたホームページのあり方を真剣に考えなければなりません。FacebookやTwitterとリンクしたWebサイトに必要なのは、従来のホームページよりもライトで瞬発力をもつものです。でも、それを専門知識のない人がやろうとすると難しく、現状では広告代理店やWebプロダクションに依頼しなければならなくなってしまう。たとえば『新メニューの感想コメントをリツイートしてくれたら500円引き』なんていう小売店ならではのサービスをゆくゆくはBiNDでフォローできるように、できたら面白いのではないかとかと考えています」