モバイルPCの分野で2015年までにARMプロセッサの市場シェアが半分以上を占めるようになる――と書くといささか大げさな気もするが、昨今のタブレットやミニノートPCブームで販売台数が現行の一般的なノートPCのそれを上回ることになれば、それほど唐突な話でもない。PCWorldは5月30日(米国時間)、こうしたARMの事業戦略について報じている。
ARMはプロセッサIPのライセンスを行う英国企業で、市場には同社からのライセンスを受けて製造されたチップがARMプロセッサ、あるいはARM互換プロセッサとして出回っている。PCWorldによれば、現在台湾の台北市内で開催されているCOMPUTEX TAIPEIで行われたカンファレンスにおいて、英ARMプレジデントのTudor Brown氏が「今日モバイルPC分野におけるわれわれのシェアは約10%程度だが、2011年末までには15%とタブレット分野の成長に合わせて伸びる見通しだ。さらに2015年にはこのシェアが50%を突破するものと考えている」とコメントしたという。
「PC」というカテゴリで考えれば、同市場でのシェアはIntelとx86プロセッサが圧倒的なのは明らかだろう。だがもし、この「モバイルPC」というカテゴリをタブレットや小型モバイルデバイスにまで拡大させた場合、その状況は大きく変化してくる。PCにおけるx86とIntelの地位は揺るぎなくても、こうしたタブレットなどの新分野が盛り上がり、出荷ベースでの市場規模がPCのそれを凌駕することがあれば、市場シェア50%以上の達成というのは夢物語ではなくなる。また来年2012年に登場するWindows 8はARMプロセッサコアとそのSoCでの動作をサポートしており、これもまたARMプロセッサ躍進の原動力になるとみられる。