基調講演を行ったUQコミュニケーションズ 代表取締役社長 野坂章雄氏

5月25日より東京ビックサイトで開催されている「ワイヤレスジャパン2011」の基調講演に、UQコミュニケーションズ 代表取締役社長の野坂章雄氏が登壇した。

講演の冒頭で野坂氏は、同社が提供するUQ WiMAXの東日本大震災による影響を紹介。地震発生当日には東北2,000局がダウンしたものの、その後復旧し、立ち入り不可局1件を除けば5月中に全局が復旧すると説明した。また地震発生後に音声中心のネットワークである3G回線では利用制限がかけられたが、WiMAXはデータ専用のネットワークであり利用制限がなかったと指摘し、WiMAXの優位性を強調した。

震災に影響を受けた基地局の復旧状況を説明

WiMAXネットワークでは利用制限がなかったと解説

次に野坂氏は、UQ WiMAXの契約件数を紹介。3月に目標としていた契約数80万件を達成し、6月中には100万件に達する見込みと述べた。契約数を伸ばしている要因として、家の中でも外でもWiMAXルーター1台で高速インターネットができる点と、1年契約で月額3,880円という低料金を挙げた。また、モバイルタイプや固定・モバイル両用タイプといったWiMAXルーターの多様化、WiMAX搭載パソコンの機種の増加、ISPや家電量販店によるMVNOが増え販売チャネルが拡大したことも要因であると述べた。

家の中でも外でもWiMAXルーター1台で高速インターネットができる

WiMAX搭載パソコンの機種も増加

ISPや家電量販店のMVNOが増え、販売チャネルが拡大

続いて、WiMAXの利用シーンや事例を解説。キャンパスネットワークにWiMAXを導入した慶応大学湘南藤沢キャンパスの事例を紹介し、WiMAX搭載パソコンでキャンパス内外のどこからでもキャンパスネットワークを利用できるようになったと説明した。さらに、海外での利用シーンを取り上げ、WiMAX搭載パソコンが海外でもそのまま使え、米国であれば無料で利用できると解説した。

WiMAXを導入した慶応大学湘南藤沢キャンパスの事例を紹介

WiMAX搭載パソコンが海外でもそのまま使えると紹介

UQ WiMAXの利用エリアについては、3月末時点で全国の実人口カバー率が71%、東名阪エリアでは実人口カバー率が99%であると紹介。14,000局の基地局を2011年度末に20,000局にするという目標を掲げた。さらに、電車内でもWiMAXを利用可能にする交通路線対策、全国の主要な地下街や地下鉄でWiMAXを利用可能にする地下街対策を今後のエリア展開として挙げた。

WiMAXの「NEXTステージ」として、野坂氏は下り最大速度330Mbpsの「WiMAX2」を紹介。ロードマップを示し、2012年にWiMAX2の製品をリリースすると述べた。また、今夏よりフィールドテストを公開で実施すると説明。大型バスで移動しながら100Mbps超の通信速度を実現するという構想を語った。

基地局を2011年度末に20,000局にするという目標を掲示

WiMAX2のフィールドテストを公開で実施する

最後に野坂氏は、多様なマルチコンテンツをパソコン、スマートフォン、タブレットといったマルチデバイスで、WiMAXというオープンなネットワークを介して利用するというUQ WiMAXの「マルチ戦略&オープン戦略」を説明。全国にWiMAXのインフラを構築して、モバイル・ブロードバンドを提供することに加えて、真のユビキタス社会をグローバルな視点で実現するとし、「次世代インターネットの本命を目指す」と述べて講演を締め括った。

UQ WiMAXのマルチ戦略&オープン戦略

次世代インターネットの本命を目指すと説明

KDDIブースの一角でUQ WiMAXの展示も行われている