誰もがどこかで見たことある、熊のキャラクター グル~ミ~。とってもキュートで、ちょっと残酷なテイストを持ったグル~ミ~の生みの親である、クリエイターの森チャック氏は、ワコムの液晶ペンタブレット「Cintiq 21UX」を愛用しているという。森チャック氏の、液晶ペンタブレットを使った創作の秘密に迫る。
直感的な操作ができる液晶ペンタブレット
森チャック |
――森さんは、いつごろからペンタブレットを使用しているのでしょうか。
森チャック「『Cintiq 21UX』は発売直後から購入して使っているのですが、それまでは、ずっとFAVOを使っていたんですよ」
――「Intuos」シリーズなどのペンタブレットは使っていなかったのですか。
森チャック「過去に絵本作品を描いていたころは、実はまだマウスでイラストに着色していたんです。その時期にペンタブレットが便利だという話を聞いて、FAVOを入手して使うことにしたんです」
――そのまま、ずっとFAVOを使用していたのですか。
森チャック「そうですね。僕は元々インテリアはカラフルなものが好きで、部屋に黒いものがあるのがなんとなく嫌だったんですよ(笑)。それだけの理由でIntuos4は買わないで、ずっと白いFAVOのままでした。ただ、Cintiq 21UXは黒以外の色が出る予定がないという事で我慢できずに購入したら、機能や色も質感も気に入ってしまいました(笑)。黒もたまには良いという感じで、実はCintiq 21UX購入後はパソコン周辺の小物に黒い物が増えたんです」
――液晶ペンタブレットはペンタブレットやマウスで描くのに比べて、いかがですか。
森チャック「iPhoneやiPadと同じで、直感的に操作できるのが良いですね。イラストを描く作業はとにかく早くなりましたね。今はないと仕事にならないです」
液晶ペンタブレットで作業が効率化された
――具体的には、どのような部分で作業が早くなったと感じるのでしょうか。
森チャック「僕は『Illustrator』を使っているのですが、Illustratorを使う場合、マウスだと色を変えたい場所が複数あるとき、わざわざクリックしていかなければならないのです。それが、ペンタブレットだと、その箇所をペンで押さえるだけなんで、1つのコマンドに対して、アクションがひとつ減るんです。単純に半分の手間で済むので、とにかく作業効率が良くなりました。あと、キャラクターグッズのデザインや試作品の画像データに対する監修作業も、液晶ペンタブレットを使って、直接データに修正箇所をイラストや文章で書き込んだりしています」
――森さん独自の液晶ペンタブレットの使い方があったら教えてください。
森チャック「ちょっと邪道かもしれないのですが、ライトボックスの代わりとしても使っています。作業デスクに液晶ペンタブレットを寝かせて使用すると、液晶画面自体をもうひとつの机のように使用できるんですよ。これで、画面を白く設定して、明るくすればライトボックスとしても使えるんです。明るさに限度があるのであまり厚い紙の場合はできないのですが、大抵は大丈夫ですね」
――森さんは、イラスト作成のどの程度を、液晶ペンタブレットで行っているのでしょうか。
森チャック「僕はイラストを原画として残したいので、基本は手描きなんです。それをスキャンして取り込んで、レタッチや着色するときに使用しています。着色に関しては全て液晶ペンタブレットです。スキャンしてパスに置き換えるまでもない小さくてシンプルなパーツのイラストなどは、線画の段階からペンタブレットで描いたりする場合もあります」
「絵を描く」楽しみがスキャン後も継続する
――液晶ペンタブレットで、森さんの創作活動はどのように変わったのでしょうか。
森チャック「液晶タブレットを使うようになって一番変わったのは、今までは手描き線画をスキャンしてパソコンに取り込んだ後の修正・着色はただの『作業』になってしまっていたことが、スキャン後も『絵を描く』という楽しみが継続していること。これは絵が好きな人間にとってはすごく意味があり、すばらしいことだと思うんですよね」
――森さんにって液晶ペンタブレットはどのような存在でしょうか。
森チャック「もうこれがないと仕事にならないですね。次のバージョンがもし出るなら、さっきも言いましたが、赤が好きなので、赤とかカラフルなボディの製品も出たら嬉しいですね」
次回、インタビューの後編では、森チャック氏がどのようにして人気クリエイターとなったのか。その秘密に迫る。
撮影:石井健