「ボーイズラブ」というジャンルは、男性の立場からすると得てして理解できないものと思われがちですが、実はそんなことはありません。繊細でリアルな心理描写には性別関係なく大いに共感できるところがありますし、普通にストーリー漫画として、あるいはギャグ漫画として楽しめる作品が多数そろっているのです。

電子貸本「Renta!」ではそんな男性でも楽しめるBL漫画を多数扱っており、中でも高校生や大学生の爽やかな恋愛を描いた作品が特に充実しています。今回はそうした青春恋愛BL作品から、男性でも抵抗なく読める傑作を男である筆者の目線でセレクトしてオススメしていきたいと思います。

晴れてボクたちは

『晴れてボクたちは』(大洋図書刊)

気は強いんだけど、チビで女の子みたいにかわいい関西弁の男子高校生、ちひろ。ある日、ちひろはひょんなことからフランス帰りで幼馴染みの圭吾と一つ屋根の下で生活することになります。

昔はちひろよりも体が小さくていじめられっ子だった圭吾ですが、高校生になってすっかり長身のイケメンに成長しており、女子からもモテモテ。でもその忠犬的性格は昔から変わっておらず、帰国そうそうちひろに「ちひろが好きなんだよ、めちゃくちゃ好きだ!」と突然告白してきます。

これに当然ながら戸惑うちひろ。これまで男性を恋愛対象として見たことはなく、現在もクラスに好きな女子がいるちひろは、圭吾の気持ちを受け入れることができず、「好きでおるん勝手やけど、のぞみは無いと思っててくれ!」とぴしゃり。もやっとした気持ちを抱えたまま同居生活を続けることになります。

そのちょっとツンなちひろが少しずつ圭吾に惹かれていき結ばれるまでの流れが、心の汚れた大人になってしまった僕からすると、とにかく甘酸っぱくて切ない! 性別関係なく「あーわかるわかる!」と言いたくなるような、絶妙な王道展開で楽しませてくれます。

全体の雰囲気はコメディー成分が多めで、シリアスな場面は少なめ。キャラクターでは、ひたすらちひろに思いをぶつけてくるけなげな圭吾もいいのですが、個人的にはやっぱりちひろが最高! かわいい容姿と気の強い関西弁というギャップは男女の恋愛漫画でも抜群の萌え要素なのですが、どうやらそれはBLにおいても普遍の真理だったようです。

なお本作は1巻ですっきり完結し、エロ描写もほとんどないので男性やBL初心者にも文句無しにオススメ! 読み終わってもちひろと圭吾の二人が気になって仕方ない方には、「ドキドキレンアイ」という続編がやはり全1巻で「Renta!」にありますので、そちらも合わせてご覧ください。こちらは2人に対しての当て馬キャラも登場してもう少しハラハラする恋愛模様を楽しむことができます。

さくらにあいたら

『さくらにあいたら』(大洋図書刊)

やはり高校生同士の爽やかな恋愛を描いたBL作品。

ガンコで不器用、しかもナイーブな高校生・神原実がひそかに想っているのは、アイドル顔の同級生・松永佑人。しかし松永はその容姿を武器に次々に付き合う相手を変える女たらしで、どう考えても神原の恋が実る日は来そうにありません。

切ない気持ちを抱えたまま、それでも"親友"としてそばにいることを選んだ神原ですが、日々大きくなる恋心を抑えきれず、とうとうある日告白してしまうのでした――。

ということで、顔は良いけど決して性格は良くない松永に対する神原の思いをどこまで理解できるかが、この作品を理解できるかどうかのポイント。性別問わず似たような相手に振り回された経験をお持ちの方なら、自分と重ね合わせてグサッと刺さるはずです。

性格がいいから好きになる――という単純なものではないのが恋愛の難しいところなんですよね。本作はそんな思春期のどうしようもない気持ちの高ぶりを非常に繊細に表現している傑作だと思いました。

恋する暴君

『恋する暴君』(海王社刊)

ややエロ描写はきつめですが、綺麗で万人受けする絵柄とテンポの良いコメディータッチのストーリーで男性でも楽しめるBL作品。上記2作品に比べるとかなりギャグ成分強めなので気軽に読み進められるはず。

主役となるのは、凶暴かつ横暴でしかもゲイが大嫌いな先輩・巽宗一と、そんな巽にもう4年も片思い中の森永。あるときふとしたことから巽への思いを果たすことに成功した森永でしたが、それが原因で巽とは大げんかをしてしまうことに……。

後輩で巽に頭が上がらないながらも攻めの森永と、気が強くてゲイを嫌悪しているのに受けという巽というコンビの対立構造が良い味を出していて、結ばれた後も安定したドタバタ劇を見せてくれます。

Renta!」では現在3巻まで読むことができ、この後も続刊とのこと。二人の微笑ましい掛け合いを長く楽しめそうです。

【ハウツー】リニューアルで使いやすくなった電子貸本「Renta!」の楽しみ方