GoogleのAndroid OSにおいて、Android 2.xとAndroid 3.xはそれぞれスマートフォンとタブレット用ということで別系統のOSであると一般に認識されている。だが、ある人物の検証によれば、その実は両者は基本的に一緒の中身であり、ユーザーインターフェイスの変更のみで区別が行われている可能性がある。

まずはGraffix0214という人物がYouTubeにアップロードしている動画をご覧いただくのがいいだろう。PC Magazineの記述によれば、この人物はDell Streak 7上で動作するAndorid 3.0 "Honeycomb"において、「LCDDensity for Root」というツールを使って画面の"Density"を160から170に上げたところ、再起動後にユーザーインターフェイスがAndroid 2.3 "Gingerbread"のそれに変化していることを実証している。


Androidでは、複数のサイズの画面をサポートするためにスクリーン解像度の設定に「Size」「Density」という2種類の設定を組み合わせて用いており、これによりスクリーン解像度等を決定している。同人物の解説によれば、このHoneycombマシン上でDensityを160以下に設定して起動するとHoneycombが起動し、それより高い値を設定するとUIがGingerbreadに変化するという。HoneycombとGingerbreadの中身が一緒だということはこの時点ではいえないが、少なくともタブレット用にあしらえたはずのHoneycombにはGingerbreadの機能がそのまま包含されていることが証明されたといえるだろう。もともと内部APIについてHoneycombはGingerbreadの上位互換にあたるため、こうした関係も別に奇妙ではない。むしろ注視すべきは、HoneycombタブレットではないStreak 7で同OSが動作していることのほうだ。同氏によれば、現在同OSをStreak 7上でテスト中で、その動作は良好だと報告している。おそらく自作、または外部で作成されたHoneycombイメージをStreak 7上に自力で導入したものとみられる。

考察だが、今回の動画が示すのは2つの事実だ。まずHoneycombはスクラッチから作られたOSではなく、あくまでGingerbreadをベースにタブレット用のUIを"かぶせた"OSである可能性が高いことだ。おそらく、Gingerbread開発の過程でタブレット用にOSをカスタマイズする必要性に迫られ、急遽Android OSの系統を分離してベース部分のチューニングやタブレット用UIの組み合わせを進めたものとみられる。またHoneycombがGingerbreadのUIをそのまま包含しており、APIでも上位互換を維持している以上、将来的に「Android 4.0」になるとみられる「Ice Cream Sandwich」はHoneycombの延長線上で開発されるものとみられる。そしてターゲットデバイスに応じて先ほどのDensityのような設定を変更することで、複数のUIが現出する形になるのだろう。Googleは先日Android 3.1をリリースしているが、ここで加えられた新機能をサポートするアップデートをAndroid 2.3.4として提供開始している。別系統とはいいつつも、あくまで両者は連動しているのだ。