中国四川省成都にあるFoxconnのiPad 2工場で先週末、死傷者を出す爆発事故があったことが伝えられており、これによる同製品の製造供給に及ぼす影響が心配されている。例えば、米国ではiPad 2のオンラインストアにおける出荷予定がそれまでの3~5日から急遽1~2週間となる一方で、爆発を起こした工場の製造キャパは出荷数全体の3割未満であり、直ちに深刻な問題を引き起こすレベルではないという指摘もある。

iPad 2

爆発事故の初報が伝わったのは中国の現地時間20日金曜日の夜で、9 to 5 Macによればその翌日にあたる21日朝(米国時間)にはApple Online StoreのiPad 2の出荷予定の表示が変化していたという。現在でもiPad 2は米国内でやや品薄状態だが、それでも事故前のオンラインストアでは「3~5日」(3-5 business days)での出荷となっており、入手が難しいレベルではなかった。だが原稿執筆の現時点では「1~2週間」(1-2 weeks)の出荷予定となっており、今後入手がややタイトになる様子がうかがえる。

事故そのものは死傷者が約20名(うち死亡者は3名)と伝えられており、被害は大きいようだが、この事故がiPad 2製造計画に与える影響については比較的軽微に収まるとの見方が強まっている。Foxconnが本社を構える台湾のDigitimesでは、事故報道が広がった翌日の22日(現地時間)に地元の中国紙Commercial Timesの一報として、問題の工場の爆発地点はコーティング用のラインと薬剤の保管場所にあたり組み立てラインそのものには被害がないことを伝えている。またFoxconn自身も製造計画どおりに作業が進んでいることを強調しており、iPad時代からの製造ラインのある深センの工場の生産台数増加で対応すると説明している。その後、Digitimesは23日になり、Foxconnからの情報として、成都工場の出荷数は全体の25~30%程度であり、工場閉鎖で当面出荷が停止する分は深セン工場の増産で対応するとの声明を報じている

また英Reutersなどの報道によれば、23日のニューヨーク市場の取引で事故報道を受けてAppleの株価は一時期1.7%程度下落したものの、その後はFoxconnの製造拠点シフトなどの対応で比較的軽微な影響に留まると判断され、最終的には前日比0.24%の小幅な値下げで落ち着いている。なお、同日の米国株は全体に1.0~1.5%マイナス程度の安値で推移している。