マンダムは19日、都内で「今年の夏の『冷感肌セミナー』~節電必至の夏を乗り切る、ヒトの冷感センサーの科学~」と題したプレスセミナーを開催した。
近年の夏の猛暑や、男性の清潔意識の高まりもあり、制汗デオドラントケアの市場は成長を続けている。また、今夏は東日本を中心に電気供給量の不足も予想され、エアコンに依存しない暑さ対策がより切実な問題に。同セミナーでは、市場拡大によって見えてきた新たな男性像から、マンダムの新デオドラント剤にも配合された清涼感持続成分「クーリングキーパー」に至るまで説明が行われた。
マンダム第一商品開発部の吉田周広氏は、制汗デオドラントケアの市場拡大を支える男性像を「爽男(サワオ)」と表現した。
「ギャル男やナル男のように、一部の人から熱狂的に支持されるのではなく、『みんなから好感を得たい』と思い、さわやかで親しみやすい雰囲気を志向する男性が増えています。彼らは仲間外れを嫌うので、体臭や汗のべたつきなどの欠点は絶対NG、逆にセクシーな香りや人工的日焼けもダメ、という意識を持っています」と吉田氏。制汗剤の併用率が高まっているデータを示した上で、「さらさらの肌とさりげない香りを24時間キープするため、さまざまなデオドラントを使いつつ、さわやかな好感を得る努力をしているのではないかと思います」と述べた。
続いて、マンダム中央研究所の理学博士である藤田郁尚氏が、清涼感のメカニズムについて説明した。皮膚の神経には、冷感や温感を感知できるセンサー「TRPチャネル」があるという。
「非常に冷たく痛みを起こす『TRPA1』から、熱くて痛みを起こす『TRPV2』まで9種類のセンサーが幅広く分布しており、これで温度と刺激を感知しています。涼しくて気持ちのいい温度(15~20度)を感知するのは『TRPM8』。ミントの主成分『l-メントール』によって活性化され、実際に温度が下がらなくても気持ちのいい涼しさを得られます」と藤田氏は述べた。
途中、「l-メントール」を配合した清涼ペーパーで顔を拭く場も設けられたが、中には「冷たすぎて痛みを感じた」という人も。
藤田氏によれば、「そこがメントールを使った清涼感の難しいところ。冷感を高めすぎたことで、痛みをともなう『TRPA1』まで反応してしまうのです。痛みのない真の清涼感を得るには、『TRPM8』をできるだけ活性化させる一方、『TRPA1』を活性化させない技術が必要です」とのことだった。
マンダムでは清涼感を長時間持続させる研究を続けている。その過程で発見された新成分が「クーリングキーパー」だ。
マンダム中央研究所の清水真由美氏は、「パーム椰子由来成分から合成された『クーリングキーパー』そのものには清涼感はありません。しかし『l-メントール』に配合すると、『クーリングキーバー』が『l-メントール』をキャッチし、その後、徐々に肌の中に放出してくれます。これで『TRPM8』も徐々に刺激されるので、冷感が長く続きます」と説明した。
20~30代男性を対象に、「クーリングキーパー」を配合した化粧料を用いた実験も行われ、使用開始から45分経っても快適な清涼感が持続すると確認されたという。今春発売された新デオドラント剤「ギャツビー パウダーデオドラントケア」「ギャツビー アイスデオドラントケア」にも、この新成分が配合された。
清水氏からは、今夏の効果的な制汗デオドラント剤の使い方として、「炎天下の通勤・通学の暑さ対策には、メントールの持続力を利用すべし」「汗をかいたら、気化熱をうまく利用するべし」「温度感覚の感受性抜群の『首』を冷やす!」「寝苦しい夜は、シャワーやお風呂上りがポイント」とのアドバイスも。
「汗をペーパーで拭き取った後、風の当たる場所に行けば、一気に肌の熱を奪ってくれます。寝苦しい夜も、デオドラント剤をしっかり活用してください。寝ている間の汗も、寝具につく嫌な臭いも抑えられます」と清水氏はコメントした。