第64回カンヌ国際映画祭のコンペティション部門に選ばれた映画『一命』の会見が19日(現地時間)、フランス・カンヌの同映画祭会場で行われ、主演の瑛太と三池崇史監督らが出席した。

カンヌ国際映画祭で映画『一命』の会見に臨んだ瑛太(左)と三池崇史監督
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同作は、滝口康彦の時代小説『異聞浪人記』の映画化作品で、貧しくとも愛する人と共に生きることを願い、"切腹"という行為を通して武家社会に一矢報いようとした2人の侍・千々岩求女(ちぢいわもとめ/瑛太)と、その叔父である津雲半四郎(市川海老蔵)の生きざまを描く。

1962年に仲代達矢主演で『切腹』というタイトルで映画化され、同映画祭で審査委員特別賞を受賞。今回の再映画化では三池崇史監督が3D撮影に挑み、同映画祭のコンペティション部門では初の3D作品として注目を集めている。

経済的に窮し、武士が「切腹のためお庭を拝借したい」と大名家に訪れ、思いとどまらせたい大名諸侯が金品を与えられて帰すという当時の風潮を利用して井伊家を訪れたが、本当に切腹させられてしまい、無惨な死を遂げた千々岩を演じた瑛太は「俳優として、日本人として、このような場に参加できたことを光栄に思います。人は自分の家族のためにどこまでできるのかについて考えさせられましたね」と神妙な面持ちで語り、「三池監督の撮影現場はとても厳しいという印象がありましたが、実際の監督はユーモアがたくさんある方で、僕の質問にも丁寧に答えてくれました。監督からは常に『瑛太はどんなのものが出せるのか』と問われている気がして、緊張の連続でしたね」と撮影を振り返った。

今回の 会見に続いて同映画祭では『一命』のレッドカーペットイベントも行われる

これに三池監督は「瑛太さんの"感情の揺れ"が生む演技の出会いがありました。それは私が持っていないものです」と評し、3D撮影については「今回私自身、初めての3D映画の撮影となったわけですが、日本独特の狭い空間にある奥行きを3Dの技術を使い、撮影したいと思いました。1日1日、撮影を日々積み重ねることによって映画は生まれ、その結果このような映画祭に参加することができ、うれしく思います」と万感の思いを語っていた。 映画『一命』は10月に公開予定。