ある英国のエンジニアが開発した低価格コンピュータが話題となっている。子供の学校教育用に設計されたこのコンピュータはARMベースのプロセッサを内蔵し、一般的なPCが持つキーボードは内蔵せず、汎用USBポートやHDMI出力のみを備える。特筆すべきはその価格で、10~15ポンドだという。米国ドルにして25ドル程度、日本円でせいぜい2,000円程度というこの低価格が特徴だ。
この件についてはInquirerなどが報じている。それによれば、「Raspberry Pi」というこのコンピュータを開発したのはコンピュータゲーム「Elite」の共同開発でも知られるDavid Braben氏。コンピュータ自体は700MHz駆動のARM11ベースのSoCを利用したシンプルなボードコンピュータといった印象で、キーボード等周辺機器接続のためのUSBポートのほか、HDMIのTV出力端子、そしてSDカードスロットを備える。1080pのH.264デコーダを備え、OpenGL ES 2.0に対応し、ベースOSのUbuntuをはじめソフトウェアはオープンソースベースで提供される。またUSB経由のハードウェア拡張も可能で、これを利用してデジタルカメラも接続できるようだ。
用途としてはまさに教育用で、その低価格を利用して子供への無料配布といったことも可能なレベルだ。外部出力用にテレビが必要で、それがHDMI経由とインターフェイス的にやや高価という問題はあるものの、使い方しだいでは便利なコンピュータとして活用できそうだ。Braben氏は最近のコンピュータ教育(ICT)のトレンドに危機感を抱いており、特にその教育内容がMicrosoftのOSを中心にWord/Excel/PowerPointといったアプリケーションの操作に偏っている点に警鐘を鳴らしている。同氏によれば、2000年代に入ってコンピュータサイエンス関連のICTアプリケーションの価格は半分以下にまで下がっており、こうしたコンピュータの登場が子供世代のコンピュータサイエンス盛り上げに役立てば――とその目標を語っている。詳細についてはYouTubeにアップロードされたビデオを参照いただくといいだろう。