七つ森書館は新装版『食卓にあがった放射能』(高木仁三郎・渡辺美紀子 著)を発売した。価格は1,400円(税抜)。本書は1986年のチェルノブイリ原発事故を受け、ヨーロッパから伝えられる食品汚染についてのデータや、実際に放射能が降り注ぐ環境で暮らしていた人々の具体的な話をまとめた『食卓にあがった死の灰』(講談社現代新書・1990年)を改題したもの。原発事故による書品汚染問題について、誰にでもわかりやすく書かれた入門書となっている。現在も深刻な状況が続く福島原発の事故を受けて新装版が急遽刊行された。

【本書まえがきより】

1986年に起きたチェルノブイリ原発事故後、原子力資料情報室のスタッフとして、当時焦点となっていた食品汚染の問題を担当した。ヨーロッパから伝えられる食品汚染のデータをまとめ、また、きびしい放射線のもとで暮らしていた友人たちから具体的な話をたくさん聞いてきた。

1992年からは、ベラルーシ、ウクライナ、ロシアの研究者と日本の研究者とのシンポジウムや研究会開催にかかわり、現地を数回訪れ、チェルノブイリで起きたことは理解していたつもりでいた。しかし、福島第一原発が日々深刻な事態に陥り、予断を許さない状態が続いている事故に直面して、初めて原子力災害とはこういうことなのだと実感した。

<中略>

新装版となる本書を読んで、あらためて、もう「脱原発しかない!」と心から思った。いま日本には54基の原発が存在し、ついに福島第一原発が危機的な状況にある。くやしくてならない!

こんどこそ、脱原発にすすまなければ、未来はない。

2011年3月30日 原子力資料情報室スタッフ 渡辺美紀子

目次

1. 食品の放射能汚染とは

  1. 汚染食品の衝撃
  2. 放射線と放射能
  3. 放射線の人体への影響

2.チェルノブイリの放射能――その教訓

  1. チェルノブイリ事故
  2. 放射能汚染への対応

3.食卓にあがった放射能

  1. 環境汚染から食品へ
  2. ヨーロッパの汚染
  3. ヨーロッパの食品の汚染度

4.輸入食品と放射能汚染

  1. 輸入食品の放射能監視体制
  2. 輸入食品の放射能汚染の実態

5.日本で原発事故が起こったら

  1. 原発過密国日本
  2. 事故のシミュレーション
  3. 食品汚染はどう進行するか

6.放射能にどう備えるか

  1. チェルノブイリは終わらない
  2. 自衛する市民
  3. 事故にどう備えるか
  4. S氏との会話――しめくくりに代えて


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