マイクロソフト デベロッパー&プラットフォーム統括本部 クラウドプラットフーム推進部 エバンジェリストの高添修氏

ITシステムの仮想化はここ数年、IT関係者の間でホットなトピックであり続けている。IT投資に積極的な企業はすでにシステムの仮想化を進め、その恩恵に与っている状況だ。当初は仮想化技術そのものに馴染みのなかったアーキテクトやエンジニアも、報告される成功事例や失敗事例に学び、仮想化の得手不得手を理解した上での取り組みができるようになってきている。

とはいえ、上記のような仮想化レポートは大規模システム向けに語られるものがほとんど。「はたして、うちも導入すべきなのか」と、疑問を抱く中小企業の方々も少なからずいるだろう。そこで、本誌は、マイクロソフト デベロッパー&プラットフォーム統括本部 クラウドプラットフーム推進部 エバンジェリストの高添修氏に、仮想化技術の中小企業向けメリットと、「Windows Server 2008 Hyper-V」の特徴を聞いた。

――まず、中小企業にとっての仮想化のメリットについて教えてください。

高添 : 中小企業向けというよりも、仮想化の基本的な部分になってしまいますが、最大のメリットはやはり、ハードウェアリソースを効率的に利用できる点でしょう。

ハードウェアの性能向上が進んだ結果、購入した物理サーバの性能を使い切れなくなってきています。つまり、サーバOSごとにハードウェアを用意していては、無駄に電力と空間を消費する可能性がでてきます。この問題を解消するためには、1台のハードウェアを複数のサーバで共有して利用することが効果的。これを実現する技術が仮想化ということです。

また、システム環境を簡単にコピーできる点も大きいでしょう。例えば、支店や営業所を増やすことになった場合、仮想化されている環境であれば、ある程度環境が整った状態のサーバを複数用意するといったことが簡単にできます。システム管理者にとって大幅な作業の効率化が見込めるはずです。

なお、Hyper-Vに関しては、大規模な環境で利用するケースを除けば、導入に際して面倒な作業が必要になることはほとんどありません。運用についてもこれまでとほぼ同じです。もはや導入を見送る要因となるような悪い部分は見当たらないという状況です。「仮想化しなきゃいけない」と考える必要はありませんが、「仮想化したほうが断然お得」であることは間違いありません。

――仮想化導入に踏み切るうえで適切なタイミングや要件があれば教えてください。

高添 : もはや仮想化を特別なテクノロジーと考える必要はないと思っています。現在では、Windows Serverに標準機能として仮想化基盤「Hyper-V」が搭載されているので、特別な導入コストは必要ありません。通常どおり、Windows Serverを導入して、必要に応じてHyper-Vを有効にすれば仮想化を導入できます。

そう考えると、どうしても早急にサーバを集約する必要があるというケースは別ですが、中小企業においては、仮想化を導入するためだけのプロジェクトを組むというよりも、サーバ機器の追加や買い替えのタイミングで、ついでに仮想化を導入するという感覚でよいのではないでしょうか。