Q:次にCodeWarriorについて。現在CodeWarriorはFreescaleのMCU向けのみをサポートしていますが、元々CodeWarriorはPCやゲームコンソール、MacintoshやBeOSなど幅広い環境をサポートしていました。今後、CodeWarriorがFreescaleのみならず他社のCortexシリーズなどをサポートするというように、昔の汎用開発ツールの方向性に戻る可能性はあるのでしょうか?
我々は、現在市場に投入されている様々な、例えばIAR WorkbenchとかKeilの様な開発環境と直接競合するつもりはない。IARはそもそも我々の重要なパートナーだしね。なので、我々の現在のプランは、CodeWarriorはFreescaleの製品のみをサポートする予定で、他の製品をサポートする計画はない。
Q:例えばカスタマがこれまでIAR Workbenchを使って開発していたとすれば、新しいMCUが来てもやはり使い慣れたIAR Workbenchを使いたいと思うわけです。ところが、現在CodeWarriorを使っているカスタマは、もしCodeWarriorを使い続けたければ、やはりFreescaleのMCUを使い続けなければなりません
例えば8bit/16bitの環境では、CodeWarriorは最良の開発環境だと思う。もしそれを使っているカスタマが32bitに移行したいと思ったら、ColdFireがある。こちらは8bitからのMigtation Pathが用意されている。もちろんIARやその他の開発環境にその時点で移行することができる。Kinetisの場合はARMベースだから、その場合カスタマが既に保有しているTool Chainを利用できるようにすることが重要だ。
だから我々はKeilやIARがKinetisをサポートしていることを喜ばしく思うし、もちろん(そうした環境を持たないユーザーのために)CodeWarriorでのサポートを行う。あくまでもFreescaleのプラットフォームの上で、一貫したTool Chainを提供するというのが我々の行いたいことだ。
もちろん我々はカスタマにCodeWarriorを使って欲しいと思っている。CodeWarriorは開発期間を短縮できるし、8bitやColdFire、KinetisからPowerPCベースまで、同一の使い勝手で幅広く利用できる。
そういったわけで今のところCodeWarriorのToolchainで、他社の製品をサポートする予定はない。
Q:Flexisは8bitと32bitのColdFireで命令セットの互換性はありませんが、周辺回路が同一に設計されており、またCodeWarriorがうまく互換性を保つことで、ソースコードの互換性が取れています。単純に考えると、ColdFireの代わりにKinetisを使ってのアップグレードも不可能ではないように思うのですが、いかがでしょう?
今のところはそうした事を直接行うのは不可能だ。ただそうしたストーリーをカスタマが望めば、そうした事に対応するのは可能だ。というのはどちらのコンパイラもCodeWarrior 10.1に含まれており、再コンパイルを行うことで対応できる。
またProcessor Expertも8bit MCUとKinetisの両方に対応している。一般にKinetisの周辺回路はより8bitのものよりもパワフルで洗練されている。だから、将来のローエンドのKinetisではこうした事(8bitからの移行)がより簡単にできるかもしれないが、具体的なプランに関してはコメントできない。実際、多くの顧客が8bit MCUからKinetisへの移行を行いつつある。
理由はいくつかある。まずCodeWarriorとProcessor Expertが共通で使えること、それとOSとしてMQXが使えることだ。KinetisのBSP(Board Support Package)にはMQXで必要となる全てのデバイスのデバイスドライバが含まれているから、移行が簡単に行える。
Q:もう1つ。CodeWarriorは10.1からEclipseベースになりましたが、ご存知の通りEclipseはOpenSourceベースで、様々なプラグインが既に流通しています。こうしたプラグインもCodeWarriorでサポートされるのでしょうか?
確かにFreescaleはCodeWarriorにEclipseを取り込んだが、ただそうしたプラグインについては我々自身では今のところ特にプランはない。ではなぜEclipseを採用したかといえば、カスタマによるカスタマイズが容易で、カスタマ自身でプラグインなどを組み込む事ができるからだ。
Eclipseが提供するこうした柔軟性が重要だと我々は判断した。個人的には、まだEclipseベースというのは始まったばかりだと思っている。我々のパートナーもやはりEclipseベースのツールをリリースしており、これからプラグインなどが次第に増えてゆくと思う。将来は、例えばAppleのiPhoneのように、AppStoreの様な形でEclipseのプラグインが配布されるようになるかもしれない。
ただ現状はまだそこまで行っていない。今は大企業が、自身で利用するプラグインをそれぞれ作成している段階だ。例えばプロファイリングとか自動テストとか、そうしたものだ。
もう1つEclipseベースで重要なのは、Eclipseベースのフレームワークは、単にMCU向けのみではなく、(カスタマ)の企業向けという形も構築できることだ。