コンピューターの歩みはテキストエディターのそれと同じです。テキストファイルの作成や編集に欠かせないテキストエディターは、現行のOSであるWindows 7のメモ帳やMac OS XのTextEditのように標準搭載されていることからも、その重要性を理解できるでしょう。「世界のテキストエディターから」では、Windows OS上で動作する世界各国のテキストエディターを不定期に紹介していきます。今回は軽快な動作が売りの「Notepad2」を紹介します。
軽快な動作が売りのNotepad2
Windows OSに付属するメモ帳は必要最小限の機能しか備えていないテキストエディターです。以前はOS側のメモリー管理機能も伴い、編集できるテキストファイルは64KB(キロバイト)以内に制限されていましたが、バージョンを重ねることでファイルサイズ制限の撤廃、対応する文字コードの拡充が施されました。コンパクトな実行ファイルと軽快な動作から、今でもメモを残す場合に使う方も少なくありません(図01)。
ハードウェアの進化に伴って多くのリソースを使用できるようになった現在では、メモ帳のアドバンテージは大きくなく、必要最小限の機能がデメリットに映るようになりました。このような背景から生まれたのが、Florian Balmer氏作のスイス産テキストエディター「Notepad2」です。
メモ帳の代替えとなるためにコンパクトさと高速性を維持しつつも、様々なプログラム言語への対応や、文字コード変換、正規表現機能などを搭載してきました。付属ドキュメントによると、初版リリースは2004年4月ですから、開発を始めて今年(2011年)で7年目に突入となります。
今回試用するバージョンは4.1.24ですが、次バージョンからは64ビット版も同時にリリースされる予定ですので、64ビット版Windows Vista/7ユーザーには朗報となるでしょう。ただし、Notepad2は日本語をサポートしていないため、nyancolo氏運営のWebサイト「Localize(日本語化) :: nyancolo」で配布中の日本語パッチを適用しましょう(図02~05)。
これでNotepad2のメニュー周りが日本語化されました。しかし、そのまま日本語を入力しても文字が化けてしまいます。これは使用中のフォントが日本語を含んでいないために起きるトラブルですので、<表示>メニューから<フォント>を選択すると起動するダイアログから、お好みの日本語フォントを選びましょう。後は一度Notepad2を再起動すれば日本語表示が可能になります(図06~09)。
図07 <表示>メニューから<フォント>をクリックします |
図08 ダイアログから日本語フォントを選択し、<OK>ボタンをクリックします |
ここで注意しなければならないのが文字コードの取り扱い。文字コードとはコンピューター上で文字を使用する際、各文字に割り当てられる対応表であり、メモ帳ではSJISやUTF-8をサポートしています。一方Notepad2は自動的に文字コードを認識する仕組みが備わっていますが、SJISをANSIと誤認識してしまう問題が残されています(図10~11)。
そのため、普段からUTF-8形式でテキストファイルを作成するか、Notepad2側の初期設定を変更しなくてはなりません。具体的には<ファイル>メニューから<エンコード>→<既定値>と選択すると起動するエンコードダイアログから設定します。ドロップダウンリストから<Japanese(Shift-JIS)>を選択しましょう。これで日常的に使用している日本語ファイルが正しく表示されます(図12~13)。
図13 ドロップダウンリストから<Japanese(Shift-JIS)>を選択して<OK>ボタンをクリックします |
これでNotepad2の日本語化および日本語入力環境が整いましたが、テキストエディターで文書を作成する場合、折り返し設定を有効した方が利便性も高まるはず。これらの設定は<表示>メニューから選択できます。同メニューから<ワードラップ><ワードラップマーク>の二項目を選択して有効にしておきましょう。これで、Notepad2で文書を作成しやすくなりました(図14~15)。
図14 <表示>メニューから<ワードラップマーク><ワードラップマーク>の二項目をクリックします |