スキャンされた画像は、JPEG形式でSDカードに保存される。解像度は300dpi固定。高解像度ゆえプリントアウトなどの再利用時にも安心な反面、スキャンした画像をまとめてメール送信する場合などには不向きという側面もある。特に海外では、良好な通信環境が確保できるとは限らない。実際私は、十数ページをドイツ地方都市の街角Wi-Fiスポットから送信するのに、30分以上もかかってしまった。そこで、300dpiの高解像度を最重要視するのでなければ、解像度変換ソフトの併用をオススメしたい。フリーソフトでも十分。ものによってはフォルダの中のファイルをまとめて変換できるので、作業の手間もないに等しい。
スキャン画質あまりは良いとはいえないが、これは大きな問題ではないだろう。というのも、スキャミルはあくまでも出先で使うモバイルスキャナーで、画質重視のデスクトップスキャナーとは根本的な運用目的を異にするからだ。もちろん画質は良いに越したことはないが、そのために本体の大型化やスキャン速度の低下を招いてしまっては本末転倒。あくまでデジタルメモの延長上として、手軽でコンパクトで低価格と考えれば、十分評価に値するツールである。
スキャン画像はSDカード経由でPCに取り込むが、SDカードにEye-Fiカードを使えば、PCを使わずにネットワーク上のストレージやEvernoteへアップロードすることができる。先述の解像度の問題にさえ注意すればこれはかなり便利で、PCをまったく介することなく、スキャンした資料のネット共有が可能になる(Eye-Fiカードのネットワーク設定や転送先設定を行っておく必要がある)。
特にEvernoteは、スキャミルと極めて相性がいい。Evernoteは、PCに加え各種スマートフォンなど多くのモバイル端末に対応したファイル同期型のストレージサービス。メモや画像データなどのファイルをドラッグ&ドロップでクライアントソフトに読み込んでおけば、いつでも別の端末のクライアントソフトからログイン・同期して、それらファイルを閲覧・修正できる。特筆すべきは、クラウド上の画像ファイルが自動的にOCR処理されることだ。OCRといってもテキストファイル化されるわけではないが、画像内の文字部分がテキストとして認識されるようになるので、目的の画像を容易に検索できるようになる。
したがって、スキャミルでスキャンした画像をどんどんEvernoteに放り込んでいけば、後から商品名や企業名、担当者名などから画像検索が可能だ。日付や店名でレシートを検索することもできるだろう。「出張費精算も効率化できそう」と書いた理由もここにある。
今回、スキャミルを使うことで、結果的におよそ80枚の資料(カタログ冊子を含む)を持ち帰らずに済んだ。これは、手荷物としては結構な重さとボリュームだ。しかも前述の通り、Evernoteを使えば画像検索も容易。帰社後に必要な資料を探し出す手間について気苦労することもなく、精神衛生上も非常に好ましいと言えるだろう。