「初任給で、結婚式。」のキャッチフレーズが印象的な「スマ婚」。でも、本当に16.8万円で可能なのだろうか

「挙式+披露宴が16.8万円で叶う! 」。最近評判の「スマ婚」が提供しているウェディングサービスの謳い文句だ。挙式と披露宴の総額は全国平均で325.7万円(ゼクシィ「結婚トレンド調査2010」より)であることを考えると、「安い! 」を通り越して、「それ、本当なの? 」と疑いたくなるような話である。これはきっと、"訳アリ"サービスに違いない。そんな気持ちである週末、「スマ婚」ショールームを訪れた。

「スマ婚」は現在、東京・大阪・名古屋の3都市で事業展開している。2011年4月下旬には千葉と横浜にもショールームがオープンし、カバーエリアは今後も増えていく予定だ。今回訪問したのは東京・新宿にあるショールーム。

ショールーム内は、白を貴重としたカフェ風のデザイン。ぱっと見て、少し気になったのが打ち合わせスペース。大手ブライダルサロンがかなりゆとりを持ったレイアウトになっているのに比べ、隣のブースはパーテーション1枚隔てた向こう側と近く、気になるといえば気になる。さらに、予約不要のため、ウェイティングが出ることもあるといい、人によっては落ち着かない印象を受けるだろう。

新宿駅から徒歩2,3分の場所にある「スマ婚」ショールーム。笑顔で出迎えてくれる女性スタッフはキャビンアテンダントのように品が良く、明るい対応。店内は白を貴重としたデザインで、カフェのような雰囲気

ショールーム内は白を貴重としたデザインで、カフェのような雰囲気。タッチパネルのPCも自由に操作できる

店内一角にはウェディングドレスが飾られ、指輪や引き出物のサンプルも展示されている

利用者が知らない"業界の常識"

はじめから、ややマイナスの印象を持ってしまったのだが、各テーブルに設置されているタッチパネルPCを見ているうちに少し印象が変わってきた。

プランナーがブライダルの様々な疑問に答えてくれる

このPCでは、「ブライダル常識力診断」がクイズ形式で楽しめる。結婚式へのドレスを持ち込む際に必要となる「持ち込み料」ややたらと高額なアイテムなど、実は様々なところにブライダル業界特有の利益のカラクリがあること。打ち合わせを何度も行うのは、見積もり金額をつり上げる狙いがあること……。私たちの知らない「業界の常識」が次々と明らかになっていく。

プランナーから説明を受け、会場の選択肢が多いことに驚く。しかも高級ホテルでの式も可能と知り、さらに興味を持った

実はこの日ショールームに訪れた担当編集H(33歳女性)は昨年結婚しており、以前、某大手ブライダルサービスを利用して挙式の打ち合わせをしたことがあった。しかし、何度か打ち合わせをしていくうちにたくさんのオプションをすすめられ、押しの強い営業とも相性が合わず、挙式を断念した苦い経験がある。「今日はドレスの打ち合わせ、次回は食事の打ち合わせというように何度も来店する必要があった。その度に高額なオプションをすすめられ、うんざりした」とそのときのことを振り返る。

「スマ婚」には、基本的に追加料金という概念がない。それは基本プランの中に、以下のように必要な内容がすべて盛り込まれているからだ。以前、「基本プランのままだと、かなり寂しいお式になってしまいますよ」と何度も担当者から言われた編集Hは、驚きの様子である。

「スマ婚パック」 ・司会者、挙式(宴内人前式) ・会場装花(メインテーブル装花、ゲストテーブル装花全卓分、ブーケ、ブートニア) ・ヘアメイク(結婚式当日と事前リハーサル) ・ペーパーアイテム(招待状、席次表、席札) ・新婦介添え人(アテンドスタッフ)、専属プランナー ・音響、照明(スタッフ・機材)、ウェルカムボード ・会場紹介、会場予約手続き代行、プログラム作成、控室

こちらの料金が16.8万円。「挙式+披露宴が16.8万円で叶う! 」と謳っているのがこの部分のことだ。これ以外に、ドレス代や会場飲食費、引き出物などの費用がプラスされ、招待客60名程度で挙式・披露宴の総費用が「スマ婚」の場合は平均150万円~200万円となる。

「えっ! やっぱり16.8万円ってウソじゃないの!! 」と思うかもしれないが、結婚式前に支払う必要があるのは16.8万円だけ。残りは当日精算が可能なため、つまり16.8万円以外はご祝儀でまかなえるということになる。これはかなりうれしいシステムだ。そして、総費用自体も相場の40~60%で抑えられている。これは、「スマ婚」の企業努力によるものである。

「スマ婚」を展開するメイションの広報担当者が安さの秘密を教えてくれた。「自社の式場を所有していないのが特徴の1つです。多額の建設費や維持費などがカットでき、低料金のブライダルプランがご提供できます」。また、自社会場を持たないことで、ドレスや引き出物などの専属指定業者を抱える必要もなく、その結果、提携業者間で価格競争が行われ、より安価での商品提供が可能となる。そしてこれには、「スマ婚」の"実績"も関係している。