16日から公開される映画『ダンシング・チャップリン』の記者会見がこのほど、大阪市内で行われ、監督の周防正行と主演の草刈民代が作品の見どころや撮影秘話などを語った。

草刈民代(左)と周防正行 拡大画像を見る

同作品は、フランスの巨匠振付家、ローラン・プティのバレエ舞台「ダンシング・チャップリン」を映像化したもの。撮影翌年の2009年にバレリーナを引退した草刈がチャップリンの名画をモチーフにしたバレエで"ラストダンス"を見せる。前半は草刈や舞台初演の1991年からチャップリンを演じてきたルイジ・ボニーノらダンサーたちの稽古の模様など制作過程を追う"ドキュメンタリー"、後半は周防が映像作品として再構築した「ダンシング・チャップリン」をたっぷりと見せる"バレエ"の2部構成となっている。

周防は撮影を決めたきっかけを、世界で唯一チャップリンを踊ることのできるルイジが還暦を迎え、「彼が踊れなくなったら誰も観ることのできない作品になってしまうかもしれない」と危機感を抱いたこと、さらに妻である草刈が引退を決めていたことだと説明。「彼女のダンスを撮る最後のチャンスだと思った」と思いを語った。

本作では、野外ロケやオリジナルの舞台にはないセット、ダンサーのクローズアップなどを盛り込み、映画ならではの演出でバレエを表現。「もともとの舞台で想定されていない正面以外のアングルやサイズで撮る場合、映画ではこっちの方が美しく見えるんだよという理由がなければカメラは動かさなかった」という周防だが、クランクイン前、独自の演出をプティになかなか了承してもらえないという苦労もあったとか。周防は「ロケやセットは事前に了解を得られなかったので、とりあえずやってしまって、撮り終わってから見せようと。だから完成した映像を見せに行くときは怖かった。OKをもらえたからよかったんですけどね。そのときは熱が出て、フランスのホテルで1日寝てました(笑)」と裏話を明かして笑わせていた。

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草刈は自ら演じたプティ作品の魅力を「演劇的であり、踊りでなければ表現できない世界観。バレエを初めて観た人に踊りの表現とはこういうものだということを伝えられるよさがある」と語り、「踊りの表現のおもしろさを感じていただいて、それをきっかけに踊りというものに目を向けていただれば。想像したことのない世界がここにあると感じてもらえると思います」と作品をPRしていた。