自動車保険は相手側のケガや車などを補償するものと、自分(家族、搭乗者含む)のケガや車を補償するものに分かれます。相手のある事故の場合でお互いに過失があれば、自分の保険会社から示談交渉の担当者が示談を請け負ってくれます。相手が任意保険に入っていれば相手も示談の担当者が出てきますし、入ってなければ保険会社の担当者と当事者との間で示談が行われます。と、これが通常の示談交渉ですが、なかには示談を保険会社に任せられないケースが出てきます。しかもそういったケースが意外に多いのが困りものです。

事故には過失割合がつきもの

車同士の交通事故が発生しました。この時、相手と自分、どちらが加害車両でどちらが被害車両かというのは過失割合の大小で決まります。過失割合は「6 : 4」「8 : 2」など数字の割合で言われ、数字の大きいほうが過失も大きく、すなわち加害車両となります。

この過失割合は事故ごとに決められますが、そのほとんどが過去の判例などにより決定されます。例えば「青信号の交差点に時速50キロで進入し、右折車を目視していたが減速せず交差点の●●の位置で衝突した。この場合の過失は6」といったふうに決まっており、保険会社の示談交渉担当者はそれをもとに過失割合を決定します。

過失割合でお互いの保険金が決まる

例えば車同士の事故で、自分の車が100万円の損害をこうむったとします。この時、自分の車の損害分は相手の対物賠償保険+自分の車両保険で補償されます。この時に過失割合が肝心になります。過失割合によって、自分が相手から受け取る保険金が大きく変わってくるからです。

・過失割合 相手10:自分0
相手の対物賠償から100万円
自分の車両保険から0円

・過失割合 相手6:自分4
相手の対物賠償から60万円
自分の車両保険から40万円

・過失割合 相手0:自分10
相手の対物賠償から0円
自分の車両保険から100万円

このケースでもしも車両保険に入っていなければ、自分の車の修理費は自腹となります。自分の過失4なら40万円、自分の過失10なら100万円を自己負担しなければなりません。

意外に多い過失ゼロの交通事故

上記のような車両絡みでは損害額がハッキリ出てくる場合が多いですが、大ケガをした場合には、ケガの大きさの認定や逸失利益(休業補償など)が絡むため、かなり細かい示談が行われます。自分に過失が少しでもあれば、自分の保険会社の示談交渉担当者が直接やりとりをしてくれます。

しかし、やっかいなのが過失割合ゼロのケース。例えば「赤信号で信号待ちをしていて追突された」「駐車場で駐車中の車に乗っていて車がぶつかってきた」…過失割合がゼロになる事故は意外に多いのです。過失ゼロなら全て相手の保険で対処してくれるから大丈夫では? と思いがちですが、実はこれが大変なのです。

過失ゼロのケースは示談が大変!

過失ゼロのケースで最も困るのが示談交渉です。実は、自分の過失がゼロということは基本的に自分の自動車保険が使えないことになります。その理由ですが、自動車保険は相手の賠償にそなえるもの。過失ゼロでは相手への賠償がないので使いたくても使えないのです。

こうなると保険会社に示談交渉を任せるつもりでいても、実際に示談交渉するのは自分自身と相手の保険会社の示談交渉担当者となります。

相手が提示してくれる内容が誠意のあるもので、十分な補償であれば問題はありません。しかし、なかには示談をわざと進捗させない、非を認めない、加害者に有利な賠償しか提示しない…といった場合があります。こうなると相手は示談交渉のプロ、専門知識をふりかざして来られると不利な展開になる可能性は十分にあります。

弁護士費用特約で安心!

そんな時、自分に代わって交通事故の示談を専門に扱う弁護士に交渉を依頼するのがオススメです。時に保険会社の示談交渉担当者は「裁判してもらっても結構です」といった強気な発言をすることもありますが、弁護士に示談交渉をしてもらうだけでも効果があり、満足いく補償額を得られるケースが多いようです。

「でも、弁護士への依頼費用は高いから」…そんな悩みを解消できるのが自動車保険の「弁護士費用特約」です。これを付帯していることで、弁護士、司法書士、行政書士への報酬や訴訟に要する費用について、300万円を限度として受け取ることができます。つまり、過失ゼロの不慮の貰い事故の時、大変に心強い味方となります。弁護士費用特約は基本の補償にプラスするものなので、保険料に別途費用がかかりますが、保険会社のなかには最初から自動付帯されている会社もあるので、チェックすることをオススメします。

また、交通事故を専門に取り扱う弁護士のなかには相談無料、着手金無料、示談成功時(賠償金額アップ)のみ成功報酬を支払うとするところもあります。交通事故に遭って、賠償金額に納得が出来なければ、専門家への相談をおすすめします。