「real watches for real people」をスローガンとして掲げるオリス。パイロットなどの専門職や競技者からファッションとしての腕時計を求める人たちまで、あらゆる人々へ価格、品質、機能面に秀でた良心的な本物の時計を提供し続ける姿勢は、今回のバーゼルで発表された新作にも顕著に表れている。
パイロットのための伝統的アヴィエーションモデル「ビッグクラウン」シリーズの新作は、「ビッグクラウン X1 カリキュレーター」。1947年10月14日、世界初の有人音速飛行に成功した飛行機「ベルX-1」と、その偉業を成し遂げたパイロット、チャック・イエーガーへのオマージュだ。
「ビッグクラウン X1 カリキュレーター」は、ベゼル部分に回転計算尺を装備。コンピューターが発達していなかった当時、パイロットたちが回転計算尺を使用して燃料の消費量を算出していたことに敬意を表す装備だ。パイロットがグラブをしたまま扱える大きめのリューズと、傷が付きにくいコインエッジベゼル。それらビッグクラウンシリーズのアイコニックな要素を継承しつつ、46mmの新しいケースデザインにガンメタルグレーのPVD加工を施して、クラシックかつミリタリー感十分なモデルに仕上げた。ストラップは、ダークブラウンカーフ。
ケースバックはメートル・フィート換算表付き。シースルーの中心部からはオリスのアイデンティティーであるレッドローターを見ることができ、プッシュボタンに刻まれた"X"と"1"の刻印に、デザイナーの深い思い入れがうかがえる。
ユニークなのは、ベルX-1のイラストが入ったスペシャルボックスをはじめ、同機の挑戦を描いたフリップ・カウフマン監督の映画『ライトスタッフ』DVD、証明書、計算尺の機能を解説したリーフレットが付属すること。プロダクツとしてのパッケージワークが単なる腕時計の域を超え、そのバックストーリーを含む世界観までを包含しているのだ。
いま一度、DVDをじっくり鑑賞してから「ビッグクラウン X1 カリキュレーター」を腕に巻き、ロマンあふれるアヴィエーションの世界に浸ってほしい。4月に発売され、予価は29万4,000円。
パイロットウォッチの新作「BC3 エアレーシング リミテッドエディション」は、米ネバダで開催される有名なエアレース「リノ・エアレーシング」で、オリスが冠スポンサーの「オリス・ビッグクラウンレーシングチーム」が見事2位を獲得したことを記念し、発売される。世界限定1000本のメモリアル・モデルだ。
元になったのは、昨年発表した「BC3」。ブラックダイヤルにホワイトインデックスと、航空計器を思わせるシンプルで視認性の高いベースに、今回特別にGMTのムーブメントを搭載した。GMT針の先はチームのスイス人パイロット、ドン・ヴィト・ウィプレヒデガーの乗機「スカーレット・スクリマー」がモチーフとなっており、メモリアルモデルならではの遊び心を感じさせる。
裏面には、オリス・ビッグクラウンレーシングチームの公式ロゴとシリアルナンバーを刻印。ケースとブレスはチタン製で、スチールより40%も軽量。実際に装着してみると、その存在感からはおよそ信じられないほど軽い。また、アレルギーフリーなのもチタンモデルの大きなメリットだ。
こちらは、チーム公式ロゴの入ったスペシャルボックスと工具付きのラバーストラップ交換キット(スペシャルキット)が付属する。ブレスとラバーストラップ、1本で2本分の見た目と装着感が味わえる、オリスおなじみの嬉しいサービスだ。気分で付け替えるのもいいし、フォーマルとカジュアルで使い分けることもできる。同商品の予価は18万9,000円。
ビジネスウォッチでは、「レクタンギュラー・デイデイト」と「レクタンギュラー・コンプリケーション」を発表している。ジェントルな風貌でメンズとレディースが揃っていることからペアで買ったり、結納返しに使われたりと、日本でも根強い人気があった「レクタンギュラー」の新作だ。
ワイド化&薄型化された新しいケースデザインにリニューアルされたベースデザインは共通ながら、「デイデイト」は3針と日付、「コンプリケーション」はムーンフェイズとGMT、曜日と日付を備える。それぞれ、アラビックとローマの2タイプのインデックス、ブレスと革ストラップのモデルが用意される。
各モデルの予価は、「レクタンギュラー・デイデイト」革ストラップモデルが12万6,000円、ブレスモデルが13万4,400円。「レクタンギュラー・コンプリケーション」は革ストラップモデルが16万8,000円、ブレスモデルが17万8,500円。
人気のモータースポーツモデルからは、「ウイリアムズ デイデイト」の流れを汲むニューモデル「TT1 デイデイト」が発表となった。注目したいのは、ラグの改良。基部が可動するようになり、手首の細い人でもしっかりとフィットするようになった。ラバーストラップのフィット感も良好だ。バックルも改良され、装着時のストラップ余剰部分を切る必要がほぼなくなった。
SS製だったベゼルは、セラミック製に。これにより傷が付きにくくなり、ビジュアル的にも高級感と洗練を身に付けた。“デザインは機能に追随する”というオリスの信念どおり、日常使いを優先した操作性と視認性を持ち、華美すぎない、奇をてらわないデザインに仕上げられている。
各モデルの予価は、ラバーストラップモデルが11万7,600円、ブレスモデルが13万200円、ブレス / ブラックPVDモデルが13万4,400円。