アニメにドラマに映画に……漫画を原作にした映像化作品は今や止まるところを知らない勢いで増え続けています。なぜそれほどまでにメディアミックス展開が進むのかというと、それはもう単純に原作となった漫画が面白いから、なのです!

電子貸本「Renta!」では、そういった映像化作品を多数取りそろえており、気になっていたあのアニメやドラマの原作コミックをお手軽にレンタルして読むことができます。

今回はその中から、僕が個人的にオススメしたい漫画をいくつかセレクトしてご紹介したいと思います。

それでも町は廻っている

『それでも町は廻っている』(少年画報社刊)

人情あふれる下町・丸子商店街に暮らす女子高生、嵐山歩鳥を中心として、彼女の家族や友人、商店街の人々との交流を描く日常コメディー。

歩鳥がアルバイトしている喫茶店「シーサイド」がメイド喫茶になるというエピソードの第一話と、表紙のメイド服姿だけを見て最初は「最近のメイドカフェブームに乗っかった萌え漫画なのかなー」とぼんやり思っていたのですが、蓋を開けてみればまったくそんなことはなく、どちらかといえば「よつばと!」や「ちびまる子ちゃん」を彷彿とさせるゆるい日常系ギャグ漫画だったのでした。

実は以前に知人から「それ町」をオススメされたことがあるのですが、「どこが面白いの?」と尋ねたところ、その知人は口ごもってしまい、それで何となく今まで読まずにきたわけなのですが、今なら彼が口ごもった理由がわかる気がします。この漫画の面白さをパッと答えるのは、非常に難しい!

なぜなら「それ町」の魅力というのは「これだ!」とわかりやすく一言で表せるものではなく、たとえば個性あふれる登場キャラクターたちによるテンポの良い掛け合いだったり、くるくると変わる表情の豊かさだったり、あるいはゆるいコメディーとは思えないほどにレベルの高い物語の構成力だったりと、実に多様な要素が複雑に絡み合って出来上がっているものだからなのです。

レビューなどとぬかしつつこんな曖昧なことを書くのはどうかと思うのですが、「それ町」はどこがどう面白いとはなかなか説明できないけれど、とにかくまずは読んでみてほしい、でも絶対に読んだことを後悔はさせないと自信を持って言える作品です。

あ、ただし一巻だけではその魅力の全ては伝わりきらないかもしれません。人によっても違うと思いますが、本作ががぜん面白くなってくるのは2巻~3巻をすぎたあたりから。その頃には間違いなく歩鳥と、彼女を取り巻く人々の虜になっているはずです。

ふたつのスピカ

『ふたつのスピカ』(メディアファクトリー刊)

大人になってだいぶひねくれてしまったけど、青臭い若者たちの青春を描いた作品が大好きです。

「ふたつのスピカ」は、そんな僕の好みにドンピシャで当てはまる青春SFファンタジー。宇宙飛行士を目指す5人の少年少女の友情と成長を描いた物語で、全16巻とやや長編ながらも一度読み始めたら最後まで止まらなくなること必至の傑作です。

主人公はロケット事故で母親を失った少女アスミ。事故機のパイロットの幽霊「ライオンさん」と出会ったアスミは宇宙飛行士を目指すようになり、中学卒業後、東京にある宇宙学校に通うことになります。そこで出会った同じ夢を持つ仲間たちと共に、アスミは様々な困難を乗り越えていくのです。

登場人物の丁寧な心理描写と、少しだけSFが混じった世界観がほどよく調和して、何とも言えない心地良い空気感が漂っている本作。この雰囲気の理由は、作者の柳沼行がとても"言葉"を大切にする作家だからなんじゃないかな、と読んでいて思いました。

一つ一つの単語の選び方やキャラクターのやりとり、モノローグなど出てくる"言葉"のすべてがまるで詩のように綺麗につながっていて、脳に気持ちよく響いてくるのです。もちろんその言葉を最大限に生かす情景描写や演出も素晴らしい。柳沼行はとにかくネームに時間をかける作家らしいのですが、なるほど大いに納得です。

最後まで読み切って、これほどの充実感と喪失感を覚えた漫画は久々でした。なお、毎回巻末に収録されているオマケ漫画「もうひとつのスピカ」も柳沼ワールド全開で必見です。

不気田くん

『不気田くん』(グループゼロ刊)

一気に毛色が変わりますが、何気なく借りてみたらこれがとても面白かったのでご紹介します。

ホラー漫画の「不気田くん」は、ホラーの女王・犬木加奈子による名作長編コミック。おどろおどろしくも華やかな絵柄に惹かれるホラーファンも多いと思いますが、本作が本当に面白くなるのは主人公の不気田くん自身の謎が次第に明らかにされ始める2巻以降です。

正直、1巻の最初の方はストーリーどうこうよりも、インパクトある絵柄でゴリ押ししている感の方が強いのですが、よもやこれほど尻上がりな作品だとは……完全に予想外でした。

長編といっても基本的には不気田くんを中心にした一話完結スタイルのオムニバスなので、ちょっとした空き時間や夜寝る前に読むのにぴったり。ぜひこの狂気の世界を味わってみてください。

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