セカンダリー市場に対する国内の"変化"

国内ではこれまで、欧米諸国や香港、シンガポールなどのアジア諸国と比較して、セカンダリー市場に対する関心が高いとは言えなかった。だが、ITセカンダリ機器を扱う業者の中には、取引先社数が年率3倍に増加している企業もあるという。

業界で「セカンダリー市場元年」と呼ばれる背景の1つには、企業ニーズに応じて、販売業者やリース会社、メンテナンス会社が増えてきたことが挙げられる。一般に、国や地域が発展するのにともなって、それまでに不足していたインフラやサービスが自発的に立ち上がると言われる。事実、国内企業が海外進出した際には、現地の未発達な通信網や交通網に苦労しながらビジネスを進めることになるものの、経済が発展するのにともなって、それまでに現地に存在しなかったプロバイダーや運送会社などが成長し、サービスの利便性が高まっていくケースが多く見られた。

国内IT機器のセカンダリー市場についても、この1~2年の間にそれと似た状況が起こっているというのだ。販売業者やリース会社、メンテナンス会社が成長し、さらに新しいサービスを投入している。一方で、ユーザー企業側でも、セカンダリー市場への認識に変化が見られ、先に触れたように、スタートアップ企業から大規模企業までが、セカンダリー市場を有力な調達先とみなして、本格採用や試験導入が進み始めている。

さらに、昨年から今年にかけては、クラウドコンピューティングやソーシャルネットワークの掛け声とともに、サーバやストレージ、ネットワーク機器を安価かつ大量に利用するような新しいサービスが次々と立ち上がった時期でもある。製造から5年がピークという先の調査結果を踏まえるなら、今から5年前のサーバが、ちょうどデュアルコアやクアッドコアといった"クラウド向き"のCPUが搭載されたサーバが登場し始めた時期にも重なる。サーバ市場を中心として、リーマンショック後に落ち込んだ出荷額も盛り返し始めている。

2011年は、こうしたさまざまな条件が揃い始めたことにより、IT機器のセカンダリー市場が一気に立ち上がることが期待されているというわけだ。では、セカンダリー市場を活用していくためのポイントは何か。次回は、市場で取り扱われる機器の種類や特徴、プライマリー市場との違い、展望などを探る。

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