市場規模は「新品の36%」、大企業も活用

セカンダリー市場という言葉はそもそも、一定の市場規模を持つ欧米を中心に使われているものだ。オランダの調査会社AMEリサーチでは、新規導入IT機器のうち36%程度がIT機器のリユース品で占められると推定。2007年の市場規模(メーカー4000社のグローバル規模)を2600億ユーロ(当時の為替レートが160円として約42兆円)と見積もっている。

このうち、約1560億ユーロ(同約25兆円)が世界4万社の独立系ブローカー、卸売業者、リセラーの取扱額で、約1000億ユーロ(同約16兆円)がメーカーやリース会社、メンテナンス会社などが扱う再生品やリファービッシュ品だ。取扱機器の製造からの経過年数を見ると、市場の中心になっているのは製造から3~5年の製品となっている。

同社の2007年の調査結果によると、製造から1、2年の製品がそれぞれ140億、160億ユーロであるのに対し、製造から3、4年の製品はそれぞれ416億、474億ユーロ。5年の製品は960億ユーロでピークを迎える。5年を過ぎると急激に取扱いが減り、6年が270億ユーロ、7年が130億ユーロ、8年では21億ユーロ。調査レポートでは、製品のライフタイムは7~10年で、何度か再販され、3~5年を過ぎると評価が下がるとしている。

この調査自体は2007年とやや古いものだが、「潜在市場は新品の36%で、製造から5年の製品が最も多い」という傾向は、大きくは変わらないようだ。むしろ、新興諸国でIT投資が高まり、低コストでの機器調達が増えることから、プライマリー市場の平均伸び率より、セカンダリー市場の伸び率のほうが上回る可能性を指摘している。

実際、IT機器のうちサーバだけを見ても、2008年秋のリーマンショック以降、出荷台数が減少。米IDCの世界サーバ市場の調査でも、2009年の第2四半期は前年同期比で30%近く売上高が落ち込んだ。一方で、アメリカの業界団体の会報誌に掲載された米IDCの調査レポートを見ると、ユーザー企業がセカンダリー市場に対して一定の予算を割いていることが読み取れる。

この調査は、過去24カ月に中古IT機器の購入にあてた金額を企業規模別に聞いたもの(2008年調査、回答社数150超)。中古IT機器をほとんど利用していないという企業は少なく、どのような規模でも、半数以上の企業は少なくとも年間5万ドル以上を中古IT機器に費やしていることが示されている。

具体的には、24カ月で0~9999ドルを費やした企業は、従業員数250~999人で8%、同1000~1999人で7%、5000人超で3%と割合として最も少ない。一方、5万~9万9999ドルを費やした企業は、従業員数250~999人で34%、同1000~1999人で26%、5000人超で28%。さらに、10万ドル以上を費やした企業は、従業員数別にそれぞれ15%、33%、46%となる。

従業員数が増えるにつれて、購入金額が高くなるのはうなづけるが、注目できるのは、大規模企業であっても、中古IT機器を抵抗感なく利用していることが読み取れるという点だろう。そして、リーマンショック以降、中古IT機器への関心はますます高まっているとされる。