コンビニの店頭やネット募金、イベントでの募金など、東北地方太平洋沖地震の義援金の募集が各所で続けられているが、その多くは「日本赤十字社を通じて」被災地に届けられるとの説明が添えられている。集められたお金は具体的にどのように使われるのだろうか。
寄せられた義援金、被災者のもとへはいつ届く?
日本赤十字社の広報にお話を聞いたところによると、日本赤十字社へ直接、あるいは企業や団体等を通じて同社に寄せられた義援金は『義援金配分委員会』がその使途を決定する仕組みになっている。義援金配分委員会とは、特定の災害で被害を受けた都道府県を主体に設置されるもので、例えば亡くなった方の場合、家が全壊した場合などケース事に金額が決められ、市町村を通じてお見舞い金として支給されることになる。日本赤十字社だけでなく、中央共同募金会や自治体等の各募集団体に寄せられた義援金も、最終的にはこの配分委員会が配分を行う。
阪神・淡路大震災では比較的早期に配分委員会が設立され、地震発生から約半月後の2月1日に第一次の支給が行われたそうだ。だが一度に全てはカバーできず、当時被災した人からは「半年から1年後にやっと支給された」という事例も聞く。
日本赤十字社では今回の震災に際し早期の配分委員会設置を要請してはいるものの、県をまたいだ大規模な災害であるうえ、自治体そのものが被害を受けていることなどが影響して、明確な目処が立っていないという。今回は被災者数が非常に多いことに加え、最終的に支給する窓口が市町村となっていることから、自治体が機能していないエリアでは一層の困難が予想される。
一方で、これまでに同社では医師・看護師による救護班延べ約500班(現在27班が活動中)を派遣。救援物資の提供や、普段から訓練・研修を行っている防災ボランティアを送るなど、現地で被災者を支援する活動を行っている。こうした活動は同社の募集する『東北関東大震災義援金』ではなく、通常募集されている同社『社員』の資金協力や"日本赤十字社宛"の寄付が支えている(寄付について)。これらの資金は同社の活動全般に宛てられるものだが、今回の震災対策を継続するためにより多くの資金が必要となることは想像に難くない。
なお、福島県では県に直接寄せられた義援金について、同県義援金配分委員会の決定により地震・津波および福島第一原子力発電所事故の影響で避難をしている世帯に当面の生活資金として5万円が支給されることが報じられている。
現在継続中の支援活動を支援する、という方法も
こうした状況の中、中央共同募金会ではすでに活動を行っているボランティア団体やNPOなどを支援するための『災害ボランティア・NPO活動支援のための募金』を設立した。これは義援金配分委員会を通さず、支援活動を行う団体などに配分されることになる。現地で活動を行うためには、支援物資の調達や現地への輸送手段確保、燃料、通信費だけでもかなりの活動資金が必要となる。こうした活動を支えることが、義援金配分よりも早く被災者の"現在の"生活を支えることにつながるのだ。
中央共同募金会では、この募金による支援を必要とするボランティア団体・NPOなどからの申請を今月半ばより受け付け、第三者による審査委員会の審査を経て、集められた募金をそれらの団体に配分する予定だ。
さらにいち早く支援を届けたい場合には、現在活動を行っているボランティア団体・NPOなどに直接募金を行うことが望ましい。ただし、義援金詐欺などのニュースも報じられる中、信頼できる団体に寄付をするためには、Webなどを通じて広報される活動状況を確認したり、直接電話をして寄付の使途を聞いてみるなど、寄付をする側にも多少の努力が必要であることは認識しておきたい。
震災発生直後から物資輸送等の支援活動を行っているNPO法人日本ユニバ震災対策チームによると、「衣類や毛布などの物資はほぼ行き渡り、現在は炊き出しのできる避難所が増えてきたため、スチロール椀や調味料などの要望が寄せられています(担当者)」という。日々変化する状況に柔軟に対応するため、要望に応じて物資の調達が必要になるケースも増えているようだ。被災者に配分される義援金だけでなく、"支援活動を継続的に支えていくための支援"も必要とされている。