アイルトン・セナを知らない人にも観て欲しい

カバディア監督による追加撮影も行われた

――既存の映像中心で構成された作品ですが、この作品では語り下ろしの証言が多いですね。映画のために、新たに証言してくれた関係者には、どのような人々がいたのでしょうか?

カバディア「沢山の貴重な証言がありましたが、ロン・デニス(マクラーレン・チーム監督)とシド・ワトキンス(F1ドクター)のコメントは、当時は聞けない貴重なものばかりでした」

――本作はアラン・プロストとのチャンピオン争い/確執を中心に描かれています。F1ドライバーとしてのセナの歴史では、ナイジェル・マンセルとの確執、ネルソン・ピケとの確執、ゲルハルト・ベルガーとの友情なども印象深いのですが、これらは描かれていません。この構成は意図的なものなのでしょうか。

カバディア「すごくいい質問ですね。とにかくプロストとの確執に関してフォーカスすることで、ストーリーをより明確にしたかったのです。マンセルやピケとの関係について盛り込むと、ストーリーがバラバラになってしまいます。ただ、セナ対マンセルや、セナ対ピケという構図で、別のドキュメンタリー作品を作ることもできると思います。それほどセナのドライバー人生はドラマチックでした。ただ、プロストとの確執に関しては、もともとふたりは同じチームに所属し、そこから離れてもずっとライバル関係にあったという構図があります。やはり、セナの人生にとっては、プロストが最大のライバルだったのではないかと、私は思います」

――日本GP以外の部分でも、日本における映像が多く使われていました。セナの最後のレースとなった1994年のサンマリノGPでも、日本の映像が使われていました。

カバディア「日本には、セナのファンも多いし、ホンダエンジンのユーザーだったという事を考えても、日本の映像を多用するのは、自然な流れでした。セナにとっても、日本は、彼のF1人生を語るにあたって切り離せない国だったと思います。あと、この作品も、映画やDVD化は日本が世界で最初です。セナの母国 ブラジルより公開が早いという事を見ても、日本でのセナ人気を物語っていると思います」

――監督は、この作品で何を一番伝えたかったのでしょうか。

カバディア「F1ファンにはもちろんだけど、F1を見たことがない人に、アイルトン・セナという人物を知ってもらいたいですね。彼を知っている人にも、知らない人にも、まっすぐ届くような映画を作ったつもりです」

『アイルトン・セナ 音速の彼方へ』はジェネオン・ユニバーサル・エンターテイメントよりDVD(コレクターズエディション 4,980円、通常版 3,990円)、Blu-ray(コレクターズ・エディション 5,480円)で発売中。