ムーディーズ・インベスターズ・サービスは、日本の巨大地震によって、同国で事業を展開する国内および外国生命保険会社に発生する損失は対処可能な水準にとどまるであろう、と新たに発行したレポートで述べている。また、基本シナリオにおいて、地震を要因として、日本で事業を展開する国内および外国生命保険会社が格下げされることはないであろう、としている。

ムーディーズ・インベスターズ・サービスでは、「被災地へのエクスポージャーを有する生命保険会社は、死亡保険金および医療保険金請求の増加、保険料収入の減少による打撃を受けるであろう」と予測。保険金支払額は3,000億~4,000億円程度とみられるとし、「日本で営業する生命保険会社の自己資本と、その収益力に照らせば、対処可能な水準である」としている。

「ムーディーズが格付対象としている国内生保、外国生保のいずれにおいても、保険契約の被災地への顕著な集中はみられない。被災地で営業している生保もあるが、主要事業の大半は、今回の震災から直接的な影響は受けていない」と、レポートを共同執筆したムーディーズのヴァイスプレジデント‐シニアクレジットオフィサーのニール・ストラウス氏は述べている。

また、ムーディーズは、生保の国内証券投資にかかわる課題についても留意している。「日本の生保が保有する株式・債券の時価は下落しているが、将来的に多額の損失が実現することはないであろう。保険会社は十分な流動性を有しているため、不利な価格での資産売却は回避できるとみられる」と、レポートの共同執筆者であるヴァイスプレジデント‐シニアアナリストの川田兼司氏は述べている。