米Googleが昨年12月初旬に発表したスマートフォンNexusシリーズ第2弾「Nexus S」だが、最新のAndroid 2.3 "Gingerbread"とNFCチップを搭載した点が特徴だった。だが同製品はGSM/UMTS版の提供しか行われておらず、例えばCDMA系キャリアのネットワークでは利用できなかった。だが同社は3月21日(現地時間)、米SprintのCDMAネットワークで利用可能なバージョン「Nexus S 4G for Sprint」の提供を発表した。同バージョンの特徴として、従来のNexus Sの機能に加え、新たに4G接続機能としてClearのWiMAXネットワークを利用できる点が挙げられる。
NexusシリーズはGoogleの開発するAndroid OSのリファレンス機的役割を担っており、OSの最新バージョンやアップデート、各種サービスやアプリが最も幅広く、最も早いタイミングで利用できるメリットがある。また「SIMアンロック版」と呼ばれる製品が用意されているのも特徴で、通信キャリアの米T-Mobileとの2年契約による200ドル割引き版だけでなく、若干高い価格で「好きな通信キャリアのSIMを挿入して利用可能」になっている。今回のNexus S 4G for Sprintは従来のNexus Sの特徴をほぼ踏襲するものの、このSIMアンロック版は存在せず、事実上Sprintのネットワーク上でのみ利用できる形になる。その一方で、Sprintが提携するClearwireのWiMAXネットワーク「Clear」の利用が可能で、通常のHSPA+よりも高速なデータ通信が可能だ。ハードウェアスペック的には以前の紹介記事を参照いただくといいだろう。日本のユーザーが利用するメリットはほぼないものの、CDMAとWiMAXの両ネットワークが利用可能なNexusシリーズの派生品が登場したというのは興味深い。
またSprintは同日、Googleの音声通信統合システム「Google Voice」の同社携帯ネットワークへの統合を発表している。Google Voiceではボイスメールの提供のほか、音声のスクリプト化を行い、Gmail等のサービスを通じて音声メッセージをテキストで確認することが可能。また電話番号の統合が可能であり、「Google Number」と呼ばれる生涯有効なユニークな電話番号を取得することで、複数ある電話番号を1つに統合できるようになっている。また「Number Porting」と呼ばれる機能も備えており、携帯電話等の番号をGoogle Voiceに統合することが可能だ。これにより、携帯電話にかかってきた通話をまずいったんGoogle Voiceで受け、必要であれば携帯へと転送し、すぐに対応できない場合はGoogle Voiceがボイスメッセージとして受け付けて内容をテキスト化してメールとして受信するなど、さまざまな使い方が可能となる。今回Sprintが発表したGoogle Voice統合では、こうしたNumber Portingのほか、Google NumberをSprint携帯の電話番号として利用可能など、相互運用性が高くなっている。