QuarkXPress 9の気になる新機能

上述のようにQuarkXPress 9は電子出版向け機能を多く搭載しているが、もちろんレイアウトソフトとしても順当な進化を見ることができる。ユニークなのがテキスト周りの処理だ。

たとえば、「コールアウト(吹き出し)」機能。これは、本文のボックスの外に本文テキストに従って移動するアンカーボックスを設定する機能だが、Microsoft Office Wordの碇マークのように、テキストボックス同士を結びつけ、レイアウト変更時にもスプレッドやテキスト、段落、文字と言った要素を基準に固定される。設定値をコールアウトスタイルとして保存することもできるので、別々のテキストボックスで用意された本文と注釈などをリンクさせる場合に活用できる。

テキストボックス内の任意の場所にアンカーを付け、画像やテキストと言ったボックスをリンクできるのが「コールアウト(吹き出し)。リンクされた元のボックスと一緒に付随するボックスが移動するため、関連パーツを取り逃すことなくレイアウト変更が行える

表組み機能も拡張された。「アンカー表組の自動分離」機能によって、ページをまたがる表組みの場合に自動的にヘッダーとフッター行を繰り返し、何度も同じ作業を繰り返す必要がなくなっている。なお、QuarkXPress 9よりXLSXに対応するため、最新のExcelファイルを取り込むことができるようになった。このとき、Excelのスタイルシートを含むこともできれば、セルの大きさや書式設定を無視してコンテンツを取り込むこともできる。そして、元データとリンクさせ、オリジナルのExcelファイルに変更が加わった際にもQuarkXPressドキュメント上の表組みを簡単にアップデートできるので、情報更新の混乱を避けられる。

新しい表組み機能では、ページがまたがる表でも自動的にヘッダー部分がコピーされる。そのため、レイアウト時に掛かる負担も軽く、手間を掛けずに表組み作業が行える

さらに、レイアウト途中で連結(リンク)された複数のボックスのリンクを解除したい場合は、「リンクスター」機能によってそれが可能。通常は新しいボックスを作ってリフロー部分をコピー&ペーストし直し、ボックスを分割しなければならなかった作業を瞬時に解決することができる。

気になるQuarkXPress 9の発売は2011年4月を予定。その時期になれば、さらに詳しい情報をお伝えすることができるだろう。ちなみに、QuarkXPress 8からバージョン9へのアップデートは無償で行われることが予定されている。