富士通は3日、都内にて電子書籍ビジネスへの参入に関する記者発表会を開催した。大日本印刷(DNP)と協業し、5月を目処に、電子書籍書店を開設する予定としている。
ユビキタスビジネス戦略室・寺師和久室長は、富士通の電子書籍ビジネス参入について、「(富士通の持つ)総合ICTベンダーとしてのノウハウと、ヒューマンセントリックな技術が強み」と説明。DNPグループの有する豊富な品揃えや店舗運営ノウハウと、富士通の得意とする多機能端末開発やセンシング技術、クラウドサービスなどを連携し、ユーザーがより便利で快適に電子書籍を利用できる環境の提供を目指す。また、DNPの北島元治常務取締役は、「電子書籍の分野で、(富士通の目指す)ICTを使ったヒューマンセントリックな知の創出を手伝えるのは大変嬉しい」と話した。
電子書籍書店のサービス開始は2011年5月を予定しており、サービス名は未定。購入コンテンツはクラウド上で管理し、PCほかAndroid搭載端末やスマートフォン等複数プラットフォームで閲覧できる。購入はPCから行う形を想定しているとのこと。同社開発端末や専用ビューアに特化せず、フォーマットやDRMはDNPグループや市場で使用されている既存のものを流用する。「コンテンツの提供は既存のものに適した形で行うが、(ビューア等の)違いをユーザーが意識せずに操作できる環境を提供したい」(寺師氏)とした。
なお、5月から提供するコンテンツは、DNPグループの提供する電子書籍数万点に加え、ビジネス分野に特化した電子書籍・雑誌購入サイト「G-Search ミッケ!」を運営するジー・サーチの記事コンテンツ約30万点、FOM出版(富士通エフ・オー・エム)のビジネス・IT・試験対策等を中心とする電子書籍コンテンツなど。充実した検索機能をサービスの特徴としており、ジャンル検索やキーワード検索のほか、DNPグループのコンテンツと同社グループのコンテンツの横断検索が行える機能などを搭載する。
また、2012年には、さらにサービスおよび機能の強化を図っていく。具体的には、富士通および他社の電子書籍書店で購入した電子書籍コンテンツを1つのライブラリで一元管理できる機能を提供。対応端末も拡大していく。さらに、リアル書店との購入ポイントなどでの連携も実施していく見込み。