ガラス技術を応用展開できる分野を模索

日本電気硝子のブースでは、厚さ50μmの電子部品用ガラスを用いてアルバック、産業技術総合研究所、岩手大学と共同開発した薄膜リチウムイオン2次電池と薄膜Si太陽電池を一体化させた複合電池の展示などを行っている。

厚さ50μmのガラスパネル

同技術開発の発端は、LCDパネル用無アルカリガラスの開発を行っている中で厚さ50μmのガラスパネルを作ったことに由来するという。同社はガラスメーカーであり、電子デバイスメーカーでも電子機器メーカーでもないため、何に使えるか、と考えていたところ、アルバックらが、試験的に複合電池ができないかということを提案、実際に50μmのガラスをベースに太陽電池とリチウムイオン2次電池を一体化させたものを作ったという。

アルバックや産業技術総合研究所、岩手大学と共同開発した複合電池のデモ

それぞれの電池をバラバラに分けた上体。下側は上の電池の下面を鏡で写しているもので、両面に別々の電池があることが分かる

薄膜リチウムイオン2次電池単体での展示

こうした流れで同社は同技術のほかに、「ガラスリボン」と呼ばれるガラス製品の適用分野の模索も進めている。ガラスリボンは、厚さ5μm~50μmで幅0.5mm~5.0mmの細長いリボン状のガラスで、両側面の端部(両端)が丸みを帯びているため、樹脂フィルムのように曲げたり、リールに巻いたり、ねじったりすることができるほか、ハサミで切ることも可能という特長がある。

今のところ、2枚の板ガラスを並べてレーザー封止を行うことで、ガラスリボンの一部を融解させリボンの厚みでギャップを生じさせながら板ガラスと一体化させることができるというアプリケーションを提案しているが、こちらも、さまざまなメーカーに興味を持ってもらい、色々な分野で試しに使ってもらい、新たなアプリケーションを生み出してもらえれば、としていた。

ガラスなので見づらいが、両端の黒い部分でガラスリボンを挟み、シャープペンシルの芯で曲げて支えているデモ

新エネルギーの要となる2次電池

バッテリー ジャパンでは、多くの2次電池関連の装置や技術などが展示されているが、ここでは2社のブース内容をお伝えしたい。

まずはアルバックのブース。韓国GS Caltexが開発を進めている薄膜リチウム2次電池(TFB)の紹介を行っている。

TFBは全固体電解質を用いることで薄型化を実現しており、同社の製品は25.4mm×25.4mm×0.08mm、0.12gと小型軽量ながら、0.5mAhの電池容量を実現しており、瞬間で20mAを放電することも可能だという。1万サイクルの充放電が保証されており、現在、シート状の製品のほか、エポキシ樹脂で固めた製品などの提供も可能となっているという。

また、大容量化のめどが立ったということで、2011年内に同サイズで1mAを実現した製品を提供することを計画しているほか、10μA~2mAまで製品ラインアップを拡充することを予定しているという。

さらに、提供形態も拡充していく計画で、参考出展ながら、従来のマイカ基板のほか、シリコンやスーパーグラス基板のものが展示されていることに加え、エポキシ樹脂品としては保護回路を搭載したものも展示されている。

GS Caltexが開発したTFB

加えて、過充電/過放電保護機能を搭載したEvaluation KitとエポキシパッケージのTFB6枚をセットしたものを2011年3月中に提供する計画で、価格は20万円(税別)を予定しているという。また、電池特性用評価キットも提供を計画しており、こちらは2011年3月末までに詳細を発表する計画で、価格は40~50万円程度を見込んでいるという。

青い基板部分がEvaluation Kit。右側にあるTFBが、上からエポキシ樹脂品、同保護回路付き、マイカ基板品となっており、Evaluation Kitにはエポキシ樹脂品が6個付いてくる

2つ目はGSユアサ/リチウムエナジージャパンのブース。さまざまな分野に向けてリチウムイオン電池を提供しているGSユアサだが、今回、参考出展としてパワーコンディショナ「ラインバック」シリーズの次世代品「ラインバック αIII」および容量5Ah、電圧3.5Vのリン酸バナジウムリチウム電池の展示を行っている。

GSユアサ/リチウムエナジージャパンのブース外観

ラインバック αIIIは変換効率94.5%、直流入力電圧600Vに対応したパワーコンディショナ。RS-48Sによる最大20台の一括計測機能や最大30件の故障履歴保存の機能を有しており、発電電力を4~20mAにして外部出力が可能なほか、太陽電池入力部に6回路の接続機能を内蔵し、日射計や気温計を直接入力することが可能となっている。

一方のリン酸バナジウムリチウム電池だが、正極にリン酸バナジウムリチウムと呼ばれる活物質を採用したリチウムイオン電池。リン酸鉄系リチウムイオン電池の系統で鉄系に比べ高い電圧を実現することが可能だが、理論値までにはまだまだ遠いとのことで、参考展示となっている。また、同社はバナジウム以外の材料についても研究開発を進めており、マイクロハイブリッド電気自動車やハイブリッド電気自動車などに向けて、性能向上を着実に行っていきたいとしている。