東京・墨田区で建設中の電波塔「東京スカイツリー」が1日、600メートルを超えて自立型の鉄塔としては世界一の高さになった。
この日は午前中から、テレビ放送用アンテナなどを取り付ける「ゲイン塔」と呼ばれる先端部分の引き上げ作業を開始。ゲイン塔は1時間あたり約3メートルのスピードで上昇し、作業開始時に594メートルだったタワー全体の高さは午後1時半までに600メートルを突破した。3月中には完成時の高さである634メートルに達する見込み。
これまで世界で最も高い自立型の鉄塔は600メートルの「広州タワー」(中国・広州市)だったが、東京スカイツリーがこれを超えて世界一になった。自立せずワイヤーで地面に固定する「支線式」の塔には米国の「KVLY-TV mast」(628.8メートル)などがあるが、間もなくこれらの高さも抜く。完成すると、すべての建築物の中でもアラブ首長国連邦・ドバイの超高層ビル「ブルジュ・ハリファ」(828メートル)に続く世界第2位の高さになる。
東京スカイツリーでは、外側の鋼鉄製の塔体と並行して、中心の空洞部に「心柱(しんばしら)」と呼ばれる柱の建設が行われる。心柱は地上から第1展望台の高さまでを貫くコンクリート製の円筒で、外側の塔体とダンパーを介してつながることで、互いに強風や地震の揺れを打ち消し合う作用があるという。タワーの竣工は今年末で、周辺商業施設などの整備を終えて開業するのは来年春を予定している。