きずなは28日、ソーシャルメディアクライアント「kizna(きずな)」のサービス発表会を行った。会場ではkiznaの概要やロードマップの紹介が行われたほか、クローズドベータに参加したユーザーが使用感などを披露した。3月31日よりパブリックベータのサービスを開始する予定。

kiznaはソーシャルメディア上でCRM(Customer Relationship Management)を実現するためのツールとして開発された。主な機能は、ソーシャルメディアで交わされる様々なやりとりの一元管理、ToDoやメモ・タグの添付、アドレス帳の管理、スムースな履歴の検索・整理など。サービス開始当初はTwitterに対応したツールとしてリリースされ、順次Facebookなど他のソーシャルメディアにも対応していく予定。将来的にはTwitter、Facebookなどの複数のメディアにまたがった情報でも、一括で管理が可能になるという。

登壇してKiznaについて説明するきずな 代表取締役社長の中村仁氏(写真左)

Kizna Public Betaユーザーインタフェースのイメージ画面

加えて、友人・顧客とのやりとりを一カ所にまとめて閲覧することも可能。Twitterではこれまで、特定の人とのやりとりを振り返るには、その都度履歴を遡って見返す必要があったが、kiznaではその人との間で交わしたダイレクトメール、リツイート、返信などを時系列順に閲覧することができる。また、Twitterの検索機能は「今、この瞬間に誰がこの言葉をつぶやいているか」を見つけるもので、フォロワーが過去につぶやいたツイートを検索することは困難だったが、kiznaではフォロワーの人たちにフォーカスを絞り、特定の言葉を検索することができる。これにより、例えば過去に受けていた問い合わせを抽出し、全員に関連する新製品のコマーシャルを打つ、などの利用も可能だ。

「ラーメン、二子玉」というキーワードをもとに、過去のツイートを検索した例(写真右)。まるで受信トレイからメールを検索する感覚で、Twitterのキーワード検索ができる

Twitterのタイムラインに流れている「ユーザーが設定したキーワードを含むツイート」をサーバーが保存し続ける「Watch」機能も搭載する。自社製品に関係あるツイートをモニターするのに利用したり、ツイートしたユーザーに積極的に語りかけて顧客対応することも可能になる。ToDo機能は、「後で対応しよう」と思った問い合わせに貼り付けるマークのようなもの。タイムラインは時々刻々と流れていくが、これで「対応し忘れた」という事態も回避することができる。

発表会の後半には、実際にkiznaを顧客データベースの管理に役立てているユーザーの体験談が語られた。その中のひとり、Twitterで1,000名のフォロワーを持つ40代の料理店経営者は、これまで来客の特徴と注文した食事などのデータを表計算ソフトに打ち込んで管理していたという。しかし、常連客の増加により機能不全になっていた。kiznaを使い出してからは効率化が実現できたようで、現在、タグで来店時の人数・年齢層・趣味などを分類分けし、貸し切りのための空き時間調整、問い合わせにも履歴などの機能が役立っているとのことだった。

kiznaは無料版も用意されているので、個人ユーザーでも気軽に利用可能だ。無料版の場合、Twitterのツイートは15,000件まで保存でき、Watchキーワードは1ワードの設定が可能。タグは20件まで利用できる。有料版はUnlimited、Pro、for Businessの3タイプが用意され、Watchキーワードが無制限に設定できたり予約投稿が可能だったりと、それぞれ特長がある。kiznaのサービス詳細は同社Webサイトで確認可能だ

なお、3月末日のパブリックベータ提供開始時は、招待/登録制を採用するという。また、近日中にiPhoneアプリ「kizna for iPhone」のリリースも予定されている。