緻密に描かれたクリーチャーを、あえて見せない演出

――悪霊やクリーチャーなどの描写に関して、アニメ版ではどのような表現をされたのでしょうか。

いしづか「アニメのほうが実写よりも、クリーチャーや悪霊を表現しやすい部分もあるのですが、絵はあくまでも絵に過ぎないのです。そこで、細かく描かれた悪霊やクリーチャーの絵を、あえて画面上でははっきりと見せないようにするような演出も多用しています」

――それは、どのような演出なのでしょうか。

随所にアニメならではの映像描写や新たな解釈があり、これまでのシリーズのファンでも楽しめる
(c)2011 Warner Bros. Entertainment Inc. All rights reserved.

いしづか「画面を暗くして、その画面にノイズをかけたり、コントラストで黒を強くして、ハイライトを目立たせるなどしています。すると、明るい部分だけが強く見えるようになるのです。暗い中に何か得体の知れない物が一瞬光って見えるというような日本のホラー映画などでもよく使われている表現です。今回のアニメ版でも、この表現に限らず、色々とクリーチャーの見せ方を工夫しています」

――このアニメ版もオリジナル同様、単なるホラーでなく、バディ(相棒)ものとしても楽しめますね。

いしづか「サムとディーンのキャラクターが、かなりしっかりしているので、それを丁寧に描くよう心がけました。この兄弟は、心の中では信頼し合う相棒なのですが、表面はドライで、会話のテンポも良い。それはアニメ版でも描きたかった部分ですね」

――この作品をどのように楽しんでほしいですか。

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いしづか「アニメ化するからといっても、ドラマのスピンオフやおまけではない作品に仕上げたつもりです。ドラマの1時間が30分になっているので、ダイジェストになってしまうと思われるかもしれませんが、アニメ独自の解釈や描写も多数盛り込んであります。ドラマを見てない人でも『SUPERNATURAL』の世界観に触れることができると思うので、楽しんで欲しいですね」

――いしづか監督は、今後どのような作品を作っていきたいのでしょうか。

いしづか「まだ自分自身の指向や作風を掴み切れていない部分もあるので、色々な仕事をしっかりとやっていきたいですね。それで、自分の持ち味や表現を確立していきたいです」

――今回は実写のアニメ化でしたが、実写作品に興味はありますか。

いしづか「なぜ私がアニメーションをやっているかというと、自分でゼロから好きな世界を表現出来るからなんです。実写ではその利点を棄ててしまうことになるので、実写作品をやりたいという気持ちは、今はあまりないですね」

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