米HPは23日、「A NEW HP WORLD」と題する日本を含むアジア太平洋地域向けのプレスイベントを上海で開催し、「The Connected Life」という、HPのwebOSを中心とするビジョンを発表した。
「The Connected Life」は、HPのハードウェア/ソフトウェア・ソリューションとWebOSを活用することによって、イノベーションの促進、新たな体験の実現、コンピューティング・エコシステムの構築を目指すというもの。
「A NEW HP WORLD」について、米HP アジア太平洋/日本のパーソナルシステムグループのバイスプレジデントであるJos Brenkel(ジョス・ブレンケル)氏は、新しいビジョンの背景について、「これまでは、販売をして、購入するという個人の消費によって経済が成り立ってきたが、今後はコミュニティが情報や情熱、資産を共有することにシフトしていく」と、世の中の経済的進化が背景にあるとした。その具体例としてJos Brenkel氏は、「ニューヨークでは、これまで自動車を所有してきたが、最近では必要な時間に予約して使用するという共有にシフトしてきているほか、大きくなって着られなくなった子供服の情報を共有するサイトもできている」と説明した。
では、今後PCの世界は、HPはどのように変化していくと予想しているのか? それについて、米HPのバイスプレジデントで、チーフテクノロジー・オフィサーでもあるPhil McKinney(フィル・マッキーニー)氏は、具体的な例を挙げて次のように説明した。
「今後は家電や自動車など、さまざまなデバイスがネットワークにつながり、複雑性が増えていくだろう。そして、人々につなぐか/つながないかという選択はなく、常につながった状態になる(ONの状態)」と指摘した。
さらに、「facebookやTwitterなどのソーシャルメディアは、一カ所に統合されるようになり、2019年には、テキストベースのEメールの利用者は減り、ビジュアルでコラボレーションが行われるようになるだろう。また、テレビが直接インターネットに接続するスマートTVはさらに発展して、家自体がインターネットに接続するスマートハウスになっていく。スマートハウスでは、セキュリティが強化されるだけでなく、センサーを活用することによってエネルギーの使用量管理のほか、血糖値や体重などの健康に関する情報もインターネットを介して医師に伝わり、自宅療養も広がっていく」とした。
そして、多くのデバイスがネットワークにつなかることによって、人々はスマートフォンやPCのほかにも、さまざまなデバイスを持つことになり、それぞれのデバイスが別々情報を持つ「デジタルアイランド」状態になるという課題が生まれると予測した。その結果、これらの課題を解決するため、その人に必要な情報だけを集めるパーソナル化と、情報の集約化が重要になるとした。
そして、米HPのアプリケーションサービス担当のバイスプレジデントのSteven McArthur(ステーブン・マッカーサー)氏は、これらの課題を解決するための中核になるのがwebOSであるとした。
webOSはTouchstoneテクノロジをサポートしており、webOSを搭載したデバイス間でのデータ共有が可能になる。HPでは、webOSを搭載したデイバスとして、タブレット端末である「TouchPad」と、「Veer」と「Pre 3」という2機種の携帯をすでに米国で発表している。そして、今回イベントでは、アジア太平洋/日本のプレス向けに、試作段階のデバイスが初めて披露された。
また、iOSやAndroidなど、他の環境用に作成されたアプリケーションをwebOSに移行するためのPDKのほか、webOS用のアプリケーションを新たに開発するためのSDKも提供される。それにより、現在7,000程度のwebOS用アプリケーションも拡大できるという。
webOSでは、Adobe Flash、CSS、Java、HTML5などのWeb技術をサポートし、今後はWindows 7を搭載したPCにもwebOSが搭載される予定だという。その場合、webOSを利用するに際し、リブートは必要なく、webOSがWindows 7のエクステンションとして機能するという。なお、webOSは、他のメーカーにライセンスする予定はないということだ。また、webOSを搭載したデバイスの日本での発売は、現在のところ未定。