シャープは、世界に先駆けて商品化した電子式卓上計算機(電卓)「コンペット CS-10A」が、日本の情報処理技術の発展を示す歴史的文物として、一般社団法人情報処理学会より『情報処理技術遺産』に認定されたことを発表した。
情報処理技術遺産は、研究・教育材料としての活用、遺産保存の推進を目的に、日本の情報処理技術の基盤を形成した貴重な技術史的成果や製品、生活・文化・経済・社会に著しく貢献した情報処理技術やシステムを認定するもの。2008年度に制定され、これまでに各社・団体の製品34件が認定されており、同社では初めての認定となる。
今回認定を受けた「コンペット CS-10A」は、世界初のオールトランジスタ・ダイオードによる電子式卓上計算機として1964年に発売され、事務や経理部門における業務の大幅な効率化を実現した。この後、電卓の小型化、低消費電力化が進み、その過程で開発された半導体技術や液晶技術は同社事業の拡大の礎となったほか、現在のエレクトロニクス産業の発展にも大きく貢献したという。
電子式卓上計算機「コンペット CS-10A」は、1964年発売時の価格は535,000円。当時の1,300ccクラスの一般乗用車とほぼ同等の高額な商品だったが、電子計算機としての画期的な計算スピードと静音性で、国内・海外で高い評価を獲得、ヒット商品となった。本機は、英国・大英科学博物館に永久保存されているほか、2005年には世界的な電気・電子学会であるIEEE(アイ・トリプル・イー)より、電気・電子技 術およびその関連分野での歴史的偉業が認められ、国内の情報機器分野で初めて「IEEE マイルストーン」に認定された。また、2008年には、独立行政法人国立科学博物館の「重要科学技術史資料」にも登録されている。