昨年末から続く厳しい寒さで、宮崎県や愛知県名古屋市では数年ぶり、中国地方では軒並み過去最高の積雪を記録。雪が降らない東京でも5日連続で最低気温が氷点下を割り込んだ。気象庁では、ラニーニャ現象などの影響によりこの先も全国的に例年より気温が低く、昨年に続き寒さの厳しい冬になると予想されている。
この気温の低下による手や足など体の冷えが、しもやけ・ひび・あかぎれなどの皮膚トラブルにつながっている。ユースキン製薬によると、ビタミン系クリームの出荷量が昨年末あたりから伸び、1月の出荷量は前年の154%にまで増加。しもやけで皮膚科を受診する人も増加傾向にあるという。
患者の中には、自分がしもやけであることに気づかず、症状を悪化させてしまう人も多いと野村皮膚科医院院長、野村有子先生(神奈川県横浜市)は指摘。「ひび、あかぎれは、乾燥や外部からの刺激により、肌のバリア機能が崩れ水分が失われていくことで起こります。一方、しもやけは末梢の血流障害で、肌の内側に要因があります。患者さんによっては、足にしもやけ、手にひびやあかぎれと、両方おきていることも多いのです。ただし、しもやけは激しいかゆみが伴いますから水虫と勘違いしてしまい、間違ったケアによってひどくしてしまうことがあります」と解説する。
現代に多い大人の「しもやけ」 の原因は、室内外の温度差、異常気象と一日の寒暖差のほか、体温調節のできない体質であることが挙げられる。特にエアコンなどにより室内外の温度差が大きい生活環境を続けていると、体温調節機能が低下し、冷えやすく血行の悪い体質に。冬には、外に出た途端、地面の冷気を感じやすい足や冷気に触れる手や耳は特に冷えやすくなるという。
自分はしもやけなのだろうかー。不安に思われた人は、野村先生が監修した以下のチェックシートを参考にしてほしい。それでも不安な場合は、皮膚科の受診をおすすめしたい。
しもやけチェックシート
1:しもやけになりやすい体質は、遺伝します。身内にしもやけになったことのある人がいる場合、しもやけになりやすい傾向があります。
2.3:しもやけは末梢の血行不良によっておこります。そのため、手足の指、鼻先、耳など、末端部分で冷えやすいところに生じます。また、しもやけは寒い冬に多いのですが、春や秋の季節の変わり目にもおこりやすいので注意が必要です。特に、最低気温が4~5℃以下で、一日の気温差が大きい日が数日続くと急に増えます。
4.5:しもやけができると、手足の指全体が赤くふくれてきます。特に関節の上の部分が赤紫色に腫れ、温まると痛かゆくなります。
6.7:長時間足を靴で締めつけた状態にしていると、血行障害によりしもやけがおこりやすくなります。また、雨や雪で靴や靴下が濡れてそのままにしていると、濡れた足が急に冷えてしもやけになりやすくなります。
【しもやけ対策】
しもやけにならないようにするためには、何よりも、体が冷えないようにすることが大切です。外出時には、暖かいブーツを履いたり、手袋や帽子、マフラーをして、常に手足、耳、首元をしっかり覆ってください。濡れたままだと冷えてしもやけになりやすくなるので、雨などで足が濡れてしまったら、乾いたタオルで足を拭いてすぐに靴下を履き替えてください。手を洗った後も、乾いたタオルできちんと水気を拭き取ることが大切です。
また、急な温度差でしもやけは悪くなりますので、熱いお湯で急に温めることは避けてください。入浴時は、手足が冷えていたら、熱いお風呂にドボンとすぐ入らずに、ぬるま湯で手足を少しずつ温めてから入ってください。
入浴後は、ビタミンE入りのクリームをマッサージしながらたっぷり塗って、手袋や靴下を着用すると効果的です。ただ、水ぶくれや傷ができている場合や赤く腫れて痛みやかゆみが強い場合は、皮膚科を受診してください。
他の病気が併発していないか調べたり、外用剤やビタミンEなどを内服して治療を行ったりします。