音楽制作からリスニング用途まで、様々なタイプのヘッドホンがリリースされているソニー製品の中でも、特に低音域の再生能力にフォーカスしたヘッドフォン/イヤフォンが、「EXTRA BASS series」(XBシリーズ)だ。今回は、そんなXBシリーズの最新モデルとして登場したオーバーヘッドバンドタイプの「MDR-XB1000」と、インイヤータイプの「MDR-XB41EX」の体験レポートをお届けしよう。
ダイナミック型として世界最大の口径を誇る新開発70mmドライバーユニットに、大型のキングサイズイヤークッションを組み合わせたボディーは、強烈な存在感を放っている |
極厚の低反撥ウレタンフォームと、伸縮性の高いレザーが立体縫製されたキングサイズイヤークッションは、「フカフカ」と沈み込むような心地良い装着感と高い気密性を同時に実現してくれる |
新たにXBシリーズのフラッグシップモデルとなるMDR-XB1000は、その見た目からして超ド迫力! 異彩を放つルックスのみならず、サウンドにおいてもかなり衝撃的な重低音を味わえる。さすがに70mmのドライバーユニットは想像していた以上に巨大であり、頑強なオーバーヘッド部分を含め、ヘッドホン装着時のスタイルも非常にファンキーなスタイルとなる。R&B/Hip Hop系のファションにもベストマッチするクールな仕上がりだが、逆にユーザーや活用シーンを選ぶヘッドホンともいえそうだ。
ヘッドホンを装着しての第一印象は、375gという大柄ボディーにも関わらず非常に快適。まるで高級ソファーのように柔らかなキングサイズの極厚イヤークッション(低反撥ウレタンフォーム製)が、耳をスッポリと包みこみ高い安定度や気密性を実現。さらに、伸縮性の高いレザーの優しい装着感には良い意味で見た目を大きく裏切られ、筆者にとっても嬉しい誤算であった。ただし、本体の重量/サイズともにヘビー級なので、長時間の利用にはややツライものあるはずだ。また、大振りの本体部分とは対照的に、ケーブルには細身のフラットコード(2.0m)が採用されており、かさばらず軽快に使用できるのが嬉しい。接続コネクタもスリムなタイプ(金メッキステレオミニプラグ)となっていることも、デジタルオーディオプレイヤーなどとの相性が良く個人的に好感が持てた。
もちろん、サウンドについては言わずもがな!新開発の大口径ドライバーユニットから生み出される重低音は、クラブのメインスピーカーからの臨場感溢れるサウンドに肉迫するものとなっていた。高耐入力3,000mWにまで対応している本製品なら、お気に入りのダンスチューンを思う存分大音量で再生することができ、部屋に居ながらにしてクラブ独特のサウンドをタップリと味わえてしまう。まさに重低音をカラダで感じられるクラブ好きには堪らないヘッドホンだ。なお、スペック的にも再生周波数帯域が2Hz~3万Hzと従来モデルのMDR-XB700から進化している。再生域のバランスも向上しており、高・中音域もクリアにシッカリと再生されているのだが、やはり圧倒的な低音域が勝る傾向にある。しかし、本製品に限ってはサウンドのバランス云々などといった評価はナンセンス! 怒涛の重低音域のグルーヴ感に身をまかせ、問答無用で楽しむことをぜひともオススメしたい。
移動中にも手軽にクラブサウンドを楽しめるインイヤーヘッドホン「MDR-XB41EX」
一方、「MDR-XB41EX」はシンプルなデザインながら、ソニーならではの安定したフィット感を実現した密閉型インナーイヤーレシーバーとなっている。移動中などにも利用することの多いインイヤータイプのヘッドホンは、あまり重量があり過ぎると個人的な耳の形の相性も相まって、すぐに耳から外れてしまったり、フィット感が得られず装着に時間がかかることもあるのだが、本製品ではドライバーユニットを外耳道に対して垂直にレイアウトするバーティカル・イン・ザ・イヤー方式と、本体ハウジングと耳のくぼみをソフトな素材で補間して落ちにくするフィッティングアシスト機構の採用により、いつでも素早く心地良い装着感とベストなサウンド得られたの好印象であった。
気になるサウンドについては、やはりXBシリーズ!! 重低音域を中心としたグルーヴ感の再生能力には目を見張るものがある。高・中音域と比較して低音域の量が圧倒的に多いため、XB1000と同様、ダンス系ミュージックを手軽にいつでもどこでも心地良く楽しみたいといったユーザーには最適のサウンドといえそうだ。なお、高音域とのバランスが気になるユーザーは、ある程度の音量以上で再生することで改善傾向となるだろう。
なお、本製品には、装着感と音質を向上させる「ハイブリッドイヤーピース」が4種類(SS/S/M/L)、やや耳への負担は大きくなるがさらに遮音性を追求した「ノイズアイソレーションイヤーピース」が3種類(S/M/L)付属しており、自分の好みやシーンに合わせてフレキシブルに組み合わせが可能だ。それぞれサイズ毎に色分けもされているので、イヤーピースの交換時にも迷わず作業を行えた。