富士通東芝モバイルコミュニケーションズのブースに置かれていたレーシングカー

世界最大級のモバイル関連見本市「Mobile World Congress 2011」の会場で、富士通東芝モバイルコミュニケーションズは、Android搭載の2画面スマートフォンを出展。このほか、らくらくホンなどに搭載したノイズ除去機能を使ったフォーミュラ・ニッポンでの通信技術などを出展しており、ブースに置いたレーシングカーも注目を集めていた。

富士通東芝が展示していた2画面スマートフォンは、昨年のCEATEC JAPAN 2010で富士通が展示していた2画面タッチケータイのAndroid版。CEATECの時の端末は、OSにシンビアンを採用したもので、2つの画面を使ったさまざまな可能性をアピールしていた。ブースの説明員によれば、同様の2画面のAndroid端末はないのかという問い合わせが多かったため制作したという。

Android搭載の2画面スマートフォンの試作機

展示されていた端末は、スレートタイプのボディに2画面を搭載したデザインになっており、以前の2画面携帯のようにそれぞれに独立した画面を表示できる。例えば下画面一面にキーボードを表示したり、下画面にテキストを表示して、リンクをクリックすると上画面に動画が表示される「マニュアルを想定した」(説明員)デモアプリを搭載したり、といった2画面の可能性を提案。2画面に地図を表示して、検索結果をクリックすると下画面に詳細が表示するデモも行っていた。

マルチディスプレイになっており、上下の画面に別々の内容を表示できる。1画面を使ってキーボードを大きく表示することも可能

キーボードのキーの部分にそのまま手書き入力ができる機能も盛り込んでいる(写真はキーボードの上に数字の「1」を書いているところ)

指の動きが手書き文字だと認識されると、画面が手書き用パネルに切り替わる

1文字目が誤認識されても、続けて手書き入力した文字に応じて、1文字目の入力を補正してくれるなど、完成度は高いようだ

現時点ではあくまでプロトタイプであり、発売などの詳細は決まっていないとのこと。今回は要望に応じる形で制作したということで、デザインも確定しておらず、CEATECで展示した端末のようなデザインを想定しているそうだ。

上下の画面を1画面として使うこともできる

地図の上部に検索結果、下部に詳細を表示している

応用例。マニュアルなどの文書に埋め込まれたリンクをタッチ

上部に動画が表示され、テキストやイラストだけでなく、動画で説明を見せられる

ブースの入り口に設置されたレーシングカーは、実際に2008年のフォーミュラ・ニッポンで使われていたもの。富士通がスポンサーとして参加しており、その関係で、08年からピットクルーとドライバーの間の通信にらくらくホンを使っているそうだ。

レーシングカーの中に設置された携帯電話。走行中は通話を継続しておき、ドライバーはハンドルのボタンを押すと音声がピットクルーに届けられる仕組み

騒音環境を想定したデモ。騒音の中に置かれた携帯電話から聞こえる音声がクリアに聞こえるようになる

ピットやドライバーが騒音の激しい状況にあり、それぞれの声が聞き取りにくいということから、通常の無線に代わって同社の携帯電話を採用。らくらくホンを始め同社の携帯電話には、周囲の雑音を削減して電話音声だけを相手側に伝えることができるノイズ除去機能が搭載されており、これを使うことで、ピットとドライバー間の通話がよりしやすくなるのだという。

08年から毎回利用されており、現場からは一定の評価を得ているようで、そこから得られた知見も次の開発に生かしているそうだ。ブースでは実際に騒音環境からの音声がどれだけ聞き取りやすくなるかのデモも実施されており、その効果を確認できるようになっていた。なお、今回展示されていたのは「F-06B」で、実際のレースの現場でも同じように普通の携帯電話を使っているそうだ。

そのほか、同社のブースでは防水機能を備えた携帯電話やスマートフォンを水流に置いたデモや、さまざまなセンサーを搭載して脈拍や体の動きを測定できる機能を使った健康管理についてのデモを実施。技術をアピールする展示になっていた。

Wholesale Applications Community(WAC)が制定した、OSに依存しないでアプリを動作させるための仕様「WAC 2.0」に準拠したアプリ「Wormscope」。1台のカメラでシャッターボタンを押すと、その画像が別の端末にも共有されるというもの

デモでは、左右の端末でWormscopeが動作しており、それぞれの間で画像が自動的に共有されている

防水ケータイのデモ

医療関連機器の標準化を進める「Continua Health Alliance」(CHA)の仕様に、携帯電話としては初めて準拠。CHA準拠の医療・健康機器と、BluetoothのHDP(Health Device Profile)を使ったデータ交換が可能になっており、そのデモも行っていた

こちらは端末のセンサーで得られる情報を出力したもの。携帯を持ったまま運動をすると、センサーで詳細な動きが検出でき、さまざまな情報を取得できる

背面カメラを使った脈拍の測定も可能で、健康志向の強い欧米向けにアピールしていた