金沢駅から北陸本線を10分ほど下った場所に、約9万7000平方メートルの広大な敷地面積を誇る金沢市民芸術村がある。戦前に立てられた紡績工場跡地を市が買い取ってリノベーションを施し、歴史と現在が違和感のない空間の中で融合する落ち着きのある佇まいは、まさに創造都市金沢を象徴する施設だ。
ここには加賀の伝統工芸を継承する「金沢職人学校」と7つの屋内施設、大広場があり、その1つ、およそ200人ほどの客席が設置できるパフォーミングスクエアでeAT'11の2日目のプログラム、セミナーA、B、Cが行われた。
最初のセミナーAは「メイド・イン・ジャパンのコンテンツ」がテーマ。コーディネーター役には漫画家のしりあがり寿氏、ゲストには同じく漫画家の浦沢直樹氏と放送作家、作詞家、脚本家の倉本美津留氏、そして登壇予定だったリリー・フランキー氏のピンチヒッターとして、東北新社・専務取締役でありCMディレクターの中島信也氏がセミナーを行った。
冒頭、いきなり浦沢氏がOHCの上でマジックペンを走らせる。寝かせた括弧が2つ。なんだろうなと思うまもなくその下に両目が入る。その瞬間、会場にいる誰もが、この場にいないリリー氏の似顔絵だとわかった。あっという間の出来事に会場がどよめく。画力、スピード、思い切りのよさ、どれをとっても一級のパフォーマンスだ。「早よ来いリリー!!」とメッセージを入れると、場の空気が一気に和んだ。