BCNは9日、全国主要家電量販店の実売データを集計する「BCNランキング」に基づいた、ICレコーダーの販売動向を発表した。
それによると、ICレコーダー市場は販売台数前年同月比が5カ月連続で2桁増を記録しており、なかでも高音質で録音できるリニアPCM方式に対応したモデルが好調とのこと。リニアPCM対応製品に限ると、2010年10月以降から大きく伸びており、前年同月比では同年11月以降3カ月連続で90%増を維持している。
リニアPCM方式は、録音時にファイル圧縮を行わないため高音質で、生演奏や自然音の録音など音質の高さが要求される場面で使われてきた。録音時のファイルサイズは大きくなってしまうが、フラッシュメモリの値下がりによって大容量のメモリを搭載できるようになったため、対応する製品が一気に増えている。
リニアPCM方式の非対応製品と対応製品の販売台数構成比は、2010年秋から急速に拡大し、同年11月には過半数を占めるまでになった。平均単価は2010年初頭ではほぼ1万5,000円の水準を維持していたが、同年9月には1万3,000円台に下落し、2011年1月では1万1,000円台に到達。同社は、こうした価格の下落も普及に拍車をかけていると分析している。
ICレコーダー市場全体のメーカーシェアは、オリンパスとソニーがそれぞれ30%~40%前後で1位を争っており、3位の三洋電機が20%前後のシェアで追う状況。リニアPCM対応モデルのみに絞ると、低価格モデルにいち早く搭載した三洋のシェアが過半数を占める状態が続いていたが、2010年秋にオリンパスとソニーが対応モデルを一気に拡大し、2011年1月ではソニーが40%に迫る勢いでトップに立っている。
高音質のリニアPCM方式では、会議などの録音内容を鮮明に聞き取れるため、聞き間違いや聞き漏らしを減らすことができるという利点がある。同社は、映像の世界でフルHD画質が標準になりつつあるように、音の世界でもリニアPCMによる高音質が標準になりつつあるとコメントしている。