財務省は8日、12月の国際収支状況(速報)を発表した。海外とのモノやサービスの取引状況を示す「経常収支」は1兆1,953億円の黒字。貿易収支と所得収支の黒字幅が拡大。またサービス収支の赤字幅が縮小した。前年同月比では2,797億円(30.5%)の黒字拡大となった。2カ月ぶりの増加。
「貿易収支」は7,688億円の黒字。輸出、輸入ともに増加するなか、輸出の増加幅が輸入の増加幅を上回り、前年同月比で1,448億円(23.2%)黒字幅が拡大した。輸出は5兆8,511億円で前年同月比7,196億円(14.0%)の増加。輸入は5兆824億円で同5,748億円(12.8%)の増加だった。輸出は13カ月連続、輸入は12カ月連続で前年同月を上回っている。
同省関税局がまとめた12月分貿易統計によると、輸出ではアジア向けが14.8%増でうち中国向けが20.1%増、米国向けが16.5%増、EU向けが9.7%増などとなっている。商品別では、自動車が1,131億円(15.2%)増、金属加工機械が437億円(77.1%増)、鉄鋼が403億円(14.2%増)など。一方、電算機類の部品は94億円(8.8%)減少した。
輸入では、アジア向けが15.4%増、うち中国向けが14.7%増、大洋州向けが29.7%増、中東欧・ロシア向けが70.4%増。商品別では、鉄鉱石が727億円(102.8%増)、石炭が572億円(42.5%)増、非鉄金属鉱が439億円(38.6%増)となっている。
サービス収支は871億円の赤字。前年同月比では208億円の赤字幅縮小となった。「その他サービス収支」における支払減少などで、所得収支の黒字幅が拡大した。
所得収支は5,817億円の黒字。前年同月比では1,034億円(21.6%)の黒字幅拡大。本邦企業の海外子会社等からの再投資収益の受取増加などで黒字幅が拡大した。
また財務省は同日、2010年の国際収支状況(速報)も発表。これによると同年の経常収支は17兆801億円の黒字。前年比で3兆7,934億円(28.5%)黒字幅が拡大した。経常黒字が増加するのは3年ぶり。所得収支黒字が減少したものの、貿易収支黒字が増加した。