すでに学生が自由に使えるPCとしてWindows Vista搭載機が学生ラウンジに用意されており、認証システム等も整っていた。しかし、PCを相当数増やすとなるとコスト負担は大きい。また、新たに導入するPCがWindows 7を搭載しているならば、2つのOSを対象に管理を行わなければならない。また、導入アプリケーションなどを含めたディスクイメージの作成などを考えると時間も足りなかった。
「通常のPCでは無理だ、という結論に達しました。シンクライアントも検討はしましたが、導入には特別なネットワーク環境の構築が必要です。これにもコストと時間がかかります。どうしたらいいのかと考えた時、以前ニュースサイトで知ったHP MultiSeat Computingを思い出しました。知った当時は、本当に役立つのかなと思っていたのですが、他に選択肢はありませんでした」と荒井氏は語る。
検討段階では導入事例が少ないことには不安を感じたが、セミナー開催や小規模ながらも導入実績のある代理店を選定した結果、非常にスムーズに導入が完了できたという。導入費用は通常のPCを導入した場合と比較して、5分の1程度にまで圧縮できたという。
ホストPCのみを対象として保守コストも1/4以下に!
保守費用も大幅に圧縮されている。これは、保守対象を15台のホストPCに限っているためだ。
「PCを導入すれば台数分の保守費用が発生しますが、HP MultiSeat ComputingならばホストPCだけを管理すればよいのです。5年間の延長保証を付けても、PCの場合の4分の1から5分の1くらいに抑えられています」と荒井氏は語る。
日本体育大学がホストPCのみの保守という割り切った考え方をした理由は、アクセスデバイスが1台あたり7,000円と非常に安価だからだ。この端末に保守を付けるよりも、壊れたら購入してしまう方がコストメリットがあると判断された。
「100台のアクセスデバイスを購入し、数台をコールドスタンバイとしていますが、納期が非常に短かったので、スタンバイ機を用意しなくても大丈夫かもしれないと感じています」と荒井氏。
日本体育大学では導入決定が開館間近になってしまったため、「HP MultiSeat Computing」の特性が十分に活かせなかった部分もある。たとえば、本来ならばホストPCのみをLAN接続すれば済むのだが、すでに敷設工事は終えられていて、この部分でのコスト削減はできなかった。また、USBケーブルでホストPCとアクセスデバイスを接続するため、最長で5mしかホストPCから離れることはできないのだが、壁際にデスクを並べる設計であったために効率的な配置ができていない部分もある。
「最初から決まっていれば、中心にホストPCを設置し、1本だけLANケーブルを通して放射状にアクセスデバイスを設置する、という形もとれました。そうなれば、さらにコスト削減もできたでしょう」と荒井氏は語った。