カシオ計算機は4日、デジタルカメラ新製品発表会を都内にて開催。同社が掲げるテーマ「写真革命」を牽引するモデルをアピールした。
今回発表されたのは、HDRアート機能を強化し、モードダイヤルも採用した「EX-ZR100」、フレームとモニター部が回転する、ユニークなデザインを採用したフリースタイルカメラ「EX-TR100」、1回の充電で1,000枚撮影可能という長電池寿命が特徴の「EX-H30」の3製品。発表会では、中でも高速撮影機能と高速画像処理を融合させた新世代映像エンジン「EXILIM ENGINE HS」を搭載したEX-ZR100とEX-TR100について語られた。
2010年11月に発売され、一時は品切れを起こすほど好評だった「EX-ZR10」の上位機種にあたるEX-ZR100は、EX-ZR10で評価が高かったHDR機能をひき続き搭載。ワンシャッターで芸術的な写真表現が楽しめる「HDRアート」は適用効果の強弱を3段階から選択できるように進化しており、広角24mmからの光学12.5倍ズームを新たに採用するなど、「"写真革命"にふさわしいものに仕上がりました。皆さまの反応が楽しみです」とカシオ計算機 執行役員 QV事業部長 中山仁氏は自信を見せる。
デジタルならではの写真表現を目指した「EX-TR100」
一方、EX-TR100は、レンズ部を中心にフレームが360度回転し、モニターも270度回転する可変フレームデザインを持つフリースタイルカメラ。斬新なデザインは「デジタル時代の写真のあり方とは?」という疑問から生まれたものだという。カシオ計算機 デザインセンター プロダクトデザイン部 第一デザイン室 室長 長山洋介氏は、「着想は2年前。カメラはデジタルになったのに静止画しか撮っていない、構図も変わっていない。デジタルならではの写真表現があるのではないかと思った」と話す。
カシオ計算機 QV事業部 商品企画部 次長 渋谷敦氏。「記録するだけではなく、見せる・つくるという写真の新しい楽しみ方を提案したい」 |
カシオ計算機 デザインセンター プロダクトデザイン部 第一デザイン室 室長 長山洋介氏によると「CESで発表したEX-TR100は数々の賞を受賞している」 |
「写真とムービーの距離はもっと縮まってもいいはず」と考えた長山氏は、その後さまざまなカメラのスタイリングを検討。コンパクトデジタルカメラの要素を一度分解し、再構築することでEX-TR100の独特なデザインにたどり着いたのだ。
EX-TR100では、従来のコンデジと同じ撮影スタイル、フレームを開くムービースタイルなどさまざまな撮影スタイルが可能となっており、「この製品を手にした方が独自の撮影スタイルを発見してくださることを願っています」と締めくくった同氏。GUIのコンセプトも「SimplyFun ステーショナリーのような親しみやすさ」とし、意外性のあるカラー使いで操作することがもっと楽しくなるように心がけたという。
もちろん、EXILIM ENGINE HS搭載機種なので「基本性能は高い」(カシオ計算機 QV事業部 商品企画部 次長 渋谷敦氏)。ワンアクションでパノラマ撮影が可能な「スライドパノラマ」、1920×1080のフルHDムービー、240fpsのハイスピードムービーのほか、HDRアートにも対応。今後は専用アクセサリーの販売も検討中とのことだ。
会場には特大の「EX-TR100」も展示 |
タイマー撮影のカウントダウン表示。撮影までの時間が数字でわかるので、顔をつくって待つことができ便利 |
フレームと液晶で自立させて自分撮りも。広角21mmなので「手持ちでの自分撮りでも、5人くらいまで撮影可能」という |
興味深い「モーションシャッター」。まず、液晶に表示されたマークを好みの場所にセット |
表示が「手のひら」に変わったら準備完了。その部分の被写体の動きに反応して、離れた場所からシャッターが切れる |
動く被写体に反応し、シャッターが切れるまでの約2秒間は、カウントダウン表示に |
新しいデジタルフォトアートの世界を
発表会の後半には、同社が1月にスタートさせた画像変換サービス「イメージングスクエア」の説明会も実施。スペシャルコンテンツとして4日にグランドオープンしたオンラインミュージアム「IMAGING SQUARE MUSEUM」の中核となる「アートガレージ」をプロデュースしたアーティストの石井竜也氏もゲストとして登場した。
「オープン以来、15万枚を超えるアート作品がサーバーに保存されている」と説明するカシオ計算機 執行役員 DI事業部長 樫尾和宏氏 |
イメージングスクエアの画像変換は「筆のタッチまで再現しているリアルさがすごい!」と絶賛するアーティストの石井竜也氏(左)とカシオ計算機 執行役員 営業本部 戦略統轄部長 守屋孝司氏 |
HDRアート風のほか、「油彩」「野獣派油彩」「淡彩点描」「シルクスクリーン」などの画像変換が楽しめるイメージングスクエアは、「1枚の写真から誰でも簡単にアート作品がつくれる」(カシオ計算機 執行役員 DI事業部長 樫尾和宏氏)サービスとなっており、今月中にアメリカでも展開予定。目標は「世界No.1のアート画像サイトをつくること」とし、「今までなかった新しいデジタルフォトアートの世界を提供し、"デジタルのカシオ"だからこそできることをやっていきたい」と樫尾氏はアピールしていた。