ひまわり証券は、売買システム『戦国武将信長Day』『戦国武将秀吉Day』『戦国武将家康Over Night』の販売を開始した。前回は、この"戦国武将"シリーズを開発したシックス・インベストメント代表取締役の岩﨑淳氏に、開発までの経緯などについて話を伺ったが、今回はそれぞれのロジックについてお伺いする。
「信長」「秀吉」は、寄付きの"しこり"に着目
「戦後武将シリーズ」のうち、「信長Day」「秀吉Day」はデイトレード。寄付きでポジションを持って、引けまでには決済をしてしまう。
一方、「家康Over Night」はオーバーナイトであり、最長で2週間程度、平均して2日程度はポジションを持ち続ける。「本来は、デートレード用に開発をしたのですが、テストを行っている間に、オーバーナイトした方が成績がいいことが分かりました。それで、オーバーナイト用に仕上げたのです」(岩﨑氏)。日経225miniでは珍しいスイングトレードタイプのトレードシステムとなった。
まずは、「信長Day」と「秀吉Day」のロジックはどうなっているのだろうか?
「信長」と「秀吉」の二つのトレードシステムの着目点は、「寄付きの"しこり"」だ。「場が開いた直後というのは、参加者が方向感を探りながら、売りと買いが交錯します。この寄付きの"しこり"を抜けてきたところを、順張りで乗っていくというのが基本的な考え方です」(岩﨑氏)。そのため、「信長Day」「秀吉Day」のシグナルはほとんど前場にしかでない。「見ているのは数日間のトレンドです。寄付きの価格からトレンドに従った方向に抜けていけば、それに乗っていきます」(同)。
ただし、見ているのは価格だけではない。価格のほかに売り買いの枚数も見ている。枚数を見ることで、買い圧力が強いのか、売り圧力が強いのかを見極めて、それに乗っていくという考え方である。「信長の場合は、寄付きの価格を見て、方向感を見極めて、それに乗っていきます。秀吉の場合は、寄付きからしばらくの間、値動きを見て、寄付きのしこりを抜けてきた方に乗っていくという違いがあります」(岩﨑氏)。
寄付きで方向感を見定め、抜けてきたところを順張りで乗っていき、適当なところで利益確定、あるいは引けで手仕舞うというのは、ある意味、日経225先物をやっている人であれば、オーソドックスな手法でもあるだろう。
"ビッグプレイヤー"の「だまし」を見極めてトレード
しかし、このオーソドックスな手法だけでは、なかなかうまくいかない。なぜなら、外国人投資家などの"ビッグプレイヤー"が、「寄付きの"しこり"」で、逆張りをして、短期で利益をあげようと仕掛けてくることもあるから。その仕掛けに、一般投資家があわてふためいてしまい、盲目的に追従した後、"ビッグプレイヤー"が利益確定、相場は逆に動きだすという「だまし」が起こってくる。
「そのだましにあわないために、数日間の大きなトレンドをきちんととらえること、それから時間の概念を入れて、ある程度寄付きからの動きをしっかりと見極めてから、追従していく、というようなロジックにしています。また、だましは取引量をウォッチすることでもある程度わかります」(同)。「秀吉Day」では、このような「だまし」をじっくりと見極めて、「寄付きのしこり」から、抜け出てきたところに順張りするような考え方になっている。
この「だましにあわないためのロジック」は、買いと売りで変えているという。買いではじっくりと動きを見極めてから、売りではある程度鋭敏に反応するように設定されている。「買いと売りの動きは同じではないんですね。値が上がるときはゆっくりですが、値が下がるときは急激に下がっていきます。そのあたりも配慮しています」。
「信長Day」「秀吉Day」の中心的な考え方になっているのは、前述した「しこり」だ。例えば、日経平均の場合、1万円という値が大きな抵抗ラインになっていることは知られている。値が上がっていき、1万円を超えようかというところで押し戻される。何度も何度もチャレンジしてからでないと1万円を超えない。ところが超えた後はじわじわと値が上がっていく。逆に下がってきて、1万円を切ろうかというところでも買い圧力に支えられる。だが、1万円を割りこんでしまうと急落してしまうのである。
『戦国武将秀吉Day』資産曲線(2007年9月~2010年10月末までの価格データよりシックス・インベストメントが検証。検証結果は過去のデータであり、将来の実績及び確実な利益を保証するものではない ) |
「信長Day」「秀吉Day」では、このような「しこりを超えるかどうか」という点に着目をしている。「詳しくは言えませんが、価格帯により出来高が多い少ないという分布があるのです。出来高の多い価格帯を超えてしまうと、次の出来高の多い価格帯までは、スムーズに上昇あるいは下降するという現象があるのです」。
「信長Day」「秀吉Day」で、ユニークなのは、「売り」と「買い」のロジックが別々になっているということ。また、「売り」と「買い」をそれぞれオンオフすることができる。「もちろん、常に両方をオンにしておいていただいてかまわないのですが、長期移動平均線を見ていただき、上昇トレンドにあるときは買いだけをオン、下降トレンドにあるときは売りだけをオンにしていただくと、よりだましに引っかかる可能性が少なくなると、みなさんにお薦めしています。また、大きな経済イベントがあって、大きな値動きが予想されるが、どちらの方向に進むか見えないときは、両方ともオフにするなど、うまく休みを入れるのも運用上のコツだと思います」(岩﨑氏)。
「家康」は、1分足をベースにしたロジック
もうひとつ、好成績をあげている「家康Over Night」のロジックはどうなっているのだろうか?
「いわゆる移動平均線に代表されるテクニカル指標を複数組み合わせています。複数の指標が同時にシグナルを出したときに、シグナルを出します」(岩﨑氏)。この「家康Over Night」がユニークなのは、1分足をベースにしたロジックだということ。「最初は5分足を使ったりしたのですが、それだと足が完成するまでに5分かかります。あるイベントが起きて、シグナルが出るまでに、最長で10分かかってしまうこともあって、それだとチャンスを逃してしまうことがあるのです。それで1分足に変更をしました」(同)。スイングトレードだといっても、小さなチャンスも逃さない。その意味で、まさに「大きくゆったりと構えているが、どんな小さな好機も逃さない」、戦国武将の徳川家康そのものといえるかもしれない。このようなロジックなので、売り買いはすべての時間帯で発生する。
この「家康Over Night」でユニークなのは、「ピラミッディング」という資金コントロールの考え方が取り入れられていることである。一般的なトレードシステムでは、ポジションは1単位が基本。一つポジションを持ったら、それが決済されるまでは、次のポジションを持たない。できるのは、投資金額を1単位ではなく、複数単位にすることだが、ポジションは一つだけなので、投資金額を多くしても、リターンとリスクが比例して大きくなっていく場合が多い。
『戦国武将家康Over Night(ピラミッディングなし)』資産曲線(2007年9月~2010年10月末までの価格データよりシックス・インベストメントが検証。検証結果は過去のデータであり、将来の実績及び確実な利益を保証するものではない) |
ところが、「家康Over Night」では、ポジションを持っている最中に、別のチャンスが訪れた場合、別のポジションをもつことができる。最高枚数は設定できるようになっているので、自分の資金と照らし合わせながら、利益を最大化していくことができる。「家康Over Night」は、60%という驚異の利回り成績を出しているが、ピラミッディングを最大限に利用すると、利回りは300%近くになるという。つまり、「家康Over Night」は、かなり攻めていくトレードシステムなのである。
『戦国武将家康Over Night(ピラミッディングあり)』資産曲線(2007年9月~2010年10月末までの価格データよりシックス・インベストメントが検証。検証結果は過去のデータであり、将来の実績及び確実な利益を保証するものではない) |
以上の「戦国武将シリーズ」それぞれのロジックを見ると、従来通り、確実にデートレードで勝負をしていきたいという人は「信長Day」「秀吉Day」、よりリスクを取ってオーバーナイトにチャレンジをしていきたいという人は「家康Over Night」を選ぶということになるのではないだろうか。