エプソンは3日、インクジェットプリンタ/複合機の新機種を4モデル発表するとともに、都内で記者発表会を開催した。新モデルの紹介に加えて、2010年の通年、および年末の商戦期における販売実績の報告も行われた。

新モデルの概要については以下の記事を参照いただくとして、ここでは2010年におけるエプソンの販売実績や、新モデルの販売戦略などをお伝えしよう。

■2月3日に発表されたインクジェットプリンタ/複合機の新モデル
エプソン、A3ノビ対応の高品位「MAXART」シリーズのインクジェットプリンタ
エプソン、4色顔料インクを採用した多機能モデルのインクジェット複合機
エプソン、ビジネス向けのモノクロ専用A4インクジェットプリンタ
エプソン、FAX/ADF搭載のビジネス向けA4インクジェット複合機を2モデル

2010年通年では金額ベースのシェア1位、台数ベースではシェア2位

エプソン販売 取締役 販売推進本部長の中野修義氏

冒頭では、エプソン販売 取締役 販売推進本部長の中野氏が、インクジェットプリンタ/複合機の市場背景や、2010年の販売実績を報告。ここ数年は市場規模の縮小が続いていたが、2010年は久しぶりに増加へと転じた。主な理由としては、複合機を中心に買い替えが進んだことや、キーボードを搭載した小型プリンタの市場が予想以上に伸びたことなどを挙げた。

続いて2010年の販売実績だが、10月から12月の年末商戦期においては、エプソンのプリンタ/複合機が台数ベースと金額ベースともにトップシェアを獲得。2010年を通年で見ると、台数ベースのシェアのみ、2位となっている。この点に関しては、2010年の夏に他社の低価格攻勢があり、そこで失った販売台数を通年でキャッチアップできなかったとした。ただし、年末商戦で製品単価が比較的高いモデル(例えばEP-803Aなど)が好調に売れたことで、金額ベースでは通年でもトップシェアとなった。

プリンタ/複合機の市場規模

2010年におけるエプソンのシェア

2010年末商戦の概要

キーボード付きのコンパクトプリンタは、当初は中高年層を主要ターゲットに想定していたそうだが、20~30代の女性層から大きな支持を受けたという。簡単なプリンタ、簡単に年賀状を作れるプリンタというのは、若い女性層にも受け入れられるとした。

今回の新モデルとコンセプト・販売戦略

また、今回の新モデルの内容は、FAX/ADFを搭載したビジネス向けのA4インクジェット複合機が2モデル、同じくビジネス向けのモノクロ専用A4インクジェットプリンタが1モデル、普通紙重視の4色顔料インクジェット複合機が1モデル、プロやハイアマチュアの写真愛好家に向けたA3ノビ対応インクジェットプリンタが1モデルだ。

FAX/ADFを搭載したビジネス向けのA4インクジェット複合機。上位モデルの「PX-673F」(写真左)と、下位モデルの「PX-603F」(写真右)

ビジネス向けのモノクロ専用A4インクジェットプリンタ「PX-K100」

普通紙重視の4色顔料インクジェット複合機「PX-403A」

写真愛好家に向けたA3ノビ対応インクジェットプリンタ「PX-5V」

このうちビジネス向けモデルの背景についてだが、ビジネスプリンタの市場規模が約236万台としたうえで、レーザー製品が約55%、インクジェット製品が約45%と分析。インクジェット製品が選ばれる理由としては、低コストと省スペース性を挙げた。一方、レーザー製品に対するニーズは大量印刷/高速印刷とし、レーザー製品が得意とする部分もインクジェット製品でカバーできるように頑張っていくと意気込みを語った。

ビジネスプリンタの市場構成

レーザー製品とインクジェット製品の選択ポイント

エプソン販売 MD部 部長の北原洋一氏は新モデルの販売戦略を語った

加えて、ビジネスではモノクロ印刷のニーズが非常に高いことから、モノクロ専用となるA4インクジェットプリンタをリリースするにいたった。エプソンがモノクロ専用のインクジェットプリンタを市場に投入するのは、実に1996年10月以来だという。エプソンの調査によれば、ビジネスユーザーの約4~5%は、プリンタや複合機をモノクロ印刷オンリーで使っているそうだ。

ビジネスインクジェットプリンタのベネフィット

モノクロプリンタのニーズが年々上昇すると予想

写真愛好家に向けたA3ノビ対応のインクジェットプリンタでは、「カメラを選ばない、カメラに選ばれる」というキーワードを紹介。カメラ誌の写真コンテストなどにおいて、プリント投稿された写真の約70%は、エプソンのプリンタで出力されているという。ユーザーが使っているカメラのメーカーを調べると、各社のユーザーがまんべんなく存在していることから、それを象徴する意味で上記のキーワードが生まれた。

エプソンのフォトプリンタと、高品位な「エプソンプロセレクション」の歴史

写真愛好家の多くがエプソンプリンタを利用

さまざまなメーカーのカメラを使っているユーザーがエプソンのプリンタをチョイス