サンディスクは2日、メモリカードの新製品としてSDカード「サンディスク・エクストリーム・プロ・SDHC・UHS-Iカード」とCFカード「サンディスク・エクストリーム・プロ・コンパクトフラッシュカード」の2製品を発表した。いずれも同社ラインナップではハイエンドの「プロ」ラインナップの新製品で、高い信頼性や高速な転送速度を実現している。
SDカードは容量別に3種類を用意して2日より出荷を開始。CFカードは3月からの発売。価格はいずれもオープンプライスだが、SDカード8GBモデルが6,000円前後、16GBモデルが12,000円前後、32GBモデルが23,000円前後、CFカードは現時点では15万円程度が想定されている。
エクストリーム・プロシリーズは、プロ向けの高速・高信頼性を誇るメモリカード。今回発表された2製品は、いずれもすでに海外では発表されている製品で、今回国内向けの正式発表となった。
エクストリーム・プロ・SDHC・UHS-Iは、同社としては初めてメモリカードの高速化技術UHS-I(Ultra High Speed-1)を採用した。UHSは、業界団体のSDアソシエーションが規格化したSD 3.0規格に含まれる新しいバスインタフェースで、SD 2.0では25MB/sだった転送速度を、104MB/sにまで拡張している。この規格を採用したことで、エクストリーム・プロ・SDHC・UHS-Iは読み込み・書き込みともに45MB/sを実現している。
さらに、UHSにおける動画の転送速度を表す「UHSスピード クラス1」にも適合しており、動画の連続書き込み速度10MB/sをサポートする。
さらに、カード内部には新たに「パワーコアコントローラー」を搭載。4段積層のメモリーダイに同時アクセスを可能にしたことで、従来の2倍の速度で処理できるようになったという。また、「ダイナミック・バイナリ・キャッシュ」と「インテリジェント・データ検知機能」によって、入力されたデータの大きさによってメモリー内にデータを書き込む場所が変わるため、書き込み効率が向上し、「カード全体のパフォーマンスが最適化した」(米SanDisk Retail Product Marketing DirectorのSusan Park氏)という。
サンディスクが重視するカードの信頼性も確保。データセキュリティ管理機能により、電源不良などのエラーが発生しても、保存したデータが保護される。さらに一部データが破損しても、それがほかのデータに波及しないような設計になっている。「アドバンスト・システム・マネジメント」では、メモリーエラーを訂正する「強力なECC機能」(同)によってデータの完全性を確保できる、という。
もう1つの技術が「アドバンスト・ウェアレベリング」で、動的にメモリーの寿命を検知し、データを平均的に分散して保存することで、カード全体の寿命を延長させることができる。「エクストリーム・プロのユーザーは恐らくヘビーユーザーで、たくさんメモリーを使い、それを削除し、また再利用している。ウェアレベリングによって、カードの無期限保証を実現している」(同)そうだ。
耐久性に関しても、低温から高温までの耐温度、1mの水中落下にも耐える耐防水、5mからの落下でも壊れない耐衝撃性、X線検査で内部データが破損しない耐X線といったテストも行われている。Park氏は、「子供が踏んでも壊れないし、洗濯機で3回転してしまっても壊れなかった」と耐久性には自信を見せる。
新製品発表会では、Park氏がUHS-I対応のデジタル一眼レフカメラであるニコン「D7000」を使ったテストを披露。従来のエクストリームカードでは、20秒間の連写で21枚しか記録できなかったところを、エクストリーム・プロでは39枚撮影できており、その高速性をアピールしていた。
CFカードのサンディスク・エクストリーム・プロ・コンパクトフラッシュカードは、これまでで最大容量となる128GBの容量を達成。新たにUDMA 7インタフェースを採用したことで最大転送速度も従来の90MB/sから100MB/sまで高速化。ほかのカードと同様に無期限保証も対応している。
これでサンディスクのカードラインナップは、より安価な通常のライン、転送速度15MB/sの「ウルトラ」シリーズ、同20MB/s、同30MB/sという2種類の「エクストリーム」シリーズ、そして今回の同45MB/sの「エクストリーム・プロ」という4種類となる。同社では、3月をめどにエクストリームシリーズにもUHS-Iを導入し、30MB/sの転送速度のモデルに1本化する予定だ。
同社マーケティング部ディレクターの大木和彦氏は、「大容量カードの需要が拡大している」と話す。その理由として、大木氏は、民間調査会社のGfKによる昨年12月の調査では、実売ベースで83%のデジカメがHD動画の撮影に対応していたという点を挙げる。動画を頻繁に撮影するほどカード容量が必要になるためで、同社が実施した昨年9月の調査では、デジカメユーザーの77%が動画も撮影しており、動画の方が撮る量が多いという人も27%いたそうだ。その内、74%が5分以下の短い動画を撮っていたという。大木氏は、メモリカードの容量の4分の3を動画に割り当てて撮影したと仮定して、4GBではわずか20分しか撮影できないとの試算を示し、「コンパクトデジカメには8GB以上、デジタル一眼レフには16GB以上のカードがおすすめ」と強調する。
UHS-Iをサポートした高速カードは東芝なども発売しているが、サンディスクでは速度だけでなく信頼性も重要な要素としてアピール。現在の国内市場シェア1位を今後も継続していきたい考えを示している。